ミュシャの魅力

チェコ出身のアルフォンス・ミュシャ(チェコの発音では「ムハ」、1860~1939)は19世紀末のヨーロッパで巻き起こったアール・ヌーヴォーの代表的な画家です。
1888年パリへ移り、偶然にも大女優サラ・ベルナールの演劇ポスター《ジスモンダ》を手がけたことで一躍時代の寵児となり、グラフィックデザイナー、イラストレーター、画家として多彩な才能を発揮しました。彼の仕事はポスター、室内装飾パネル、雑誌の表紙、デザイン集、商品パッケージなど多岐にわたり、大衆を魅了しました。
パリで輝かしい足跡を刻みながらも、祖国チェコへの深い愛とスラヴ民族としての誇りを持ち続け、1910年、50歳でチェコに帰国。作品は祖国に深く根差したものに変わり、大作「スラヴ叙事詩」20点を描きました。
愛国者であったミュシャは晩年、チェコへ侵攻したナチス・ドイツに取り調べを受け、苦難の中で生涯を閉じることになりました。