番組審議会
番組審議会とは、南海放送が放送する番組の向上改善と適正を図るため、放送番組等の審議を行うことを目的として設置された審議機関です。
第726回 番組審議会
第726回番組審議会が、4月15日(火)本社8階役員会議室で開かれました。
7名(内1名はレポート提出)の委員より、テレビ、ラジオそれぞれの合評番組について審議が行われ、テレビ番組では南海放送とMetro TVが制作した「インドネシア・愛媛共同制作 Journey to Japan 大阪~広島~愛媛」について、委員から次のような意見が出されました。
テレビ番組インドネシア・愛媛共同制作 Journey to Japan 大阪~広島~愛媛
放送日時:2025年3月22日(土)16:00~16:30(Metro TV・南海放送制作)
番組概略
2024年12月、インドネシアのテレビ局Metro tvと南海放送が、瀬戸内を旅する番組を共同制作し、インドネシアで全国放送しました。インドネシア在住12年、元AKB・JKT48で「愛媛伊予観光大使」の仲川遥香が、インドネシアテレビ局Metro TVのMCと女性二人旅。インドネシア人目線で各地の特産品や絶景、日本ならではの体験を楽しみ、祖母の故郷西予市三瓶町を目指しました。インドネシアクルー3名が来日し、南海放送と共同で撮影編集。インドネシアで全国放送した30分×4週分の「Journey to Japan」を日本語ダイジェスト版にリメイクして放送しました。
各委員の意見
- ポンポンとインドネシア語を繰り出す仲川遥香さんに非常に驚いた。相方のビアンカさんの元気さと相まって番組の楽しさやテンポの良さを生み出していた。意外な展開として訪れた「ダイキアクシス」では、そこで働く若いインドネシア人男性技術者にインタビューし、日本で働くインドネシア人労働者の姿を伝えていて大変興味深かった。最後に愛媛らしく俳句にチャレンジする構成で、大阪・広島・愛媛と各地の魅力が盛りだくさんな素晴らしい番組だったと高く評価している。
- 愛媛県民として見た場合、インドネシアの方々が日本をどんな視点で見ているかという部分が抜けていたのではないか。日本の文化やアイデンティティをどう捉えているかについては深堀りしていない印象を受けた。世界共同事業企画とするなら、日本人とインドネシア人がアイデンティティの違い、お互いの捉え方を把握したうえで編集や構成をしないと、エッジの立った放送にはならないのではないかと思った。
- インドネシアで放送したダイジェスト版ということで物語性が足りなかったのではないか。インドネシアではこういったものが無いとか、こういう考え方はしないとか、愛媛県民に知らせる以上は文化的差異を明確にしてほしかった。日本版には、愛媛からインドネシアまでの距離とか交通手段、観光名所の情報を流しても良かったのではないか。
- 大阪、広島、愛媛の魅力をコンパクトに的確に伝える仕上がりになっていた。ただの観光地巡りではなく、松山で働くインドネシア人にインタビューし、ムスリムの人たちにはハラルフードや礼拝所の問題があることなど、新しい視点を視聴者に投げかけた。原爆資料館まで来て内部を紹介しなかったのは残念だったが、ビアンカさんが「原爆の悲惨さ」「平和の尊さを」発信されたことは意義があり、紀行番組とまた違った色合いを加えたのではないかと思う。
- 国籍や年齢、雰囲気の違う二人のコンビネーションが素晴らしく、盛りだくさんの内容であったが終始気分よく見ることができた。定番の観光コンテンツもインドネシア向けの紹介では視点が違って新鮮に感じたし、編集がスマートで無駄が無く、スタイリッシュな印象を受けた。食の紹介は見ごたえがあり、どんなインバウンドメニューが響いているのか参考になった。「ムスリムの方が利用できるお店を紹介してほしい」とよく聞かれるが、松山、道後には1軒もなく、今後は愛媛にしかない新しいおもてなし料理の創出が検討できるのではないかと感じた。
- インドネシアのテレビ局と南海放送が共同制作しインドネシアで全国放送されたと聞いて感激した。大阪から広島、愛媛へとしっかりと各地域のアピールポイントを抑え楽しめた。しまなみ海道でのサイクリング、八幡浜のみかんなど愛媛の見どころも満載で、インドネシアの方々の放送を見ての感想や反応も知りたいと思った。
- 西日本観光のダイジェスト版のような番組だったが、物語性やキーワードがほしいと思った。委員の皆さんから出た意見を参考にしていただいて、次回のこういった企画に生かしていただきたい。
続いてラジオ番組では、南海放送が制作した公開生放送「中川家・杉作J太郎 とりあえず、笑おうか!?」についての合評を行いました。委員の主な意見と感想は次の通りです。
ラジオ番組公開生放送「中川家・杉作J太郎 とりあえず、笑おうか!?」
放送日時:2025年3月8日(土)13:00~14:00(南海放送制作)
番組概略
『中川家 ザ・ラジオショー』(金曜 13:00~15:30)『杉作J太郎のファニーナイト』(火~木曜 19:00~21:30、土曜 21:00~23:00)エフナン南海放送ラジオの"昼の顔"と"夜の顔"がタッグ!この2組が最初に出会ったのは20年以上前、「任侠映画」のトークイベント。その後『タモリ倶楽部』でも共演。しかし、今回出会うのは約8年ぶり。超多忙をきわめ、なかなか地方の仕事は受けることができないという中川家が、全国で唯一『中川家 ザ・ラジオショー』を南海放送がネット編成しているご縁と、「J太郎さんとの仕事なら...」と引き受けてくださった奇跡のコラボイベントです。
「ラジオ」等のテーマ設定をしていましたが、3人のトークは自由奔放に展開していき、310人の観客で埋まったテルスターホールは終始笑いに包まれました。放送はradikoエリアフリーで県外から聴いてくださった方もとても多かったです。愛媛の方に"一流の笑い"に触れていただきたいと企画した今回のイベントですが、「サブカル界の帝王」とも呼ばれる杉作J太郎という稀有な存在を活かし、今後も楽しいイベントを提供していきたいと考えています。
各委員の意見
- 合評するには難しい番組だったが、ゆるい感じのトークが続き、肩の力が抜けるような、緊張を解いてくれるような雰囲気を醸し出し「音のマッサージ」みたいな心持で聴いていた。中川家のしゃべりは抜群で、引き出しの多さに圧倒された。「坊っちゃん列車」が電気で動いているというゲストからのトークは生放送なので正しくはディーゼルエンジンであることなど(進行役などが)即座に訂正できることが必要だと感じた。
- ラジオ放送ではなく会場で聴いた方が絶対面白いだろうと感じた。他愛ない話を途切れることなく、続けて笑いを取るプロの技はさすがだと思う。リスナーに音として届けるには、メリハリのある構成にするひと工夫が必要だった。「一流の笑いに触れていただきたい」という目標は、やや不完全燃焼気味ではあったが、貴重な機会でもあり今後の企画に期待している。
- 中川家は話がどんどん脱線していって、自由な展開が二人の持ち味で楽しく聴いたが、合評番組として番組審議という意味でどう聴けばいいかというのがわからなかった。自店の作業場では午後から南海放送ラジオを聴いており、中川家の番組(レギュラー)を聞きたいということでファン層が広いと感じる。
- 今回の番組が有料化に向けた放送の企画として、ラジオを売り込む新しい形を模索していると受け取った。参加者300人の中で価値をつくりあげて、企画ものとしてエンタテイメント性を上げる、番組制作側がどんな仕掛けをするかのヒントはあると思う。
- J太郎さんはズレた話を展開していたが、わかりやすいズレ加減で、意図的なものであれば見事な展開だった。全体を通して松山の話題、吉本興業や大阪の話、おばあちゃんのハンドバックなど多岐にわたる話題で盛り上がった。高野アナウンサーも自然な大笑いを展開しながらも役割を忘れることなく、生放送をうまくコントロールしていたと思う。
- 寄席に行って聴いているような1時間で、実力のある芸人さんの話芸に感心した。フリートークでこれだけ面白くネタを膨らませる技は一流だと感じた。今回のような杉作さんと芸人さんのシリーズは続けてやってほしいと思った。
以上
(番組審議会事務局)
番組審議会委員名簿
稲葉隆一(委員長) | 大一ガス(株) 代表取締役会長 |
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村田毅之(副委員長 | 松山大学 法学部教授 |
山田ひろみ | 陶芸家 |
徳田明仁 | 愛媛大学 ミュージアム准教授兼広報室副室長 |
近藤路子 | (株)フードスタイル 代表取締役 |
宇佐美まこと | 作家 |
長井基裕 | 愛媛新聞社常務取締役常務執行役員 |