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番組審議会

番組審議会とは、南海放送が放送する番組の向上改善と適正を図るため、放送番組等の審議を行うことを目的として設置された審議機関です。


第716回 番組審議会

第716回番組審議会が、6月25日(火)本社8階役員会議室で開かれました。
7名の委員より、テレビ、ラジオそれぞれの合評番組について審議が行われ、テレビ番組では南海放送が制作した「緊急地震特番」について、委員から次のような意見が出されました。

テレビ番組
「緊急地震特番」

放送日時:2024年4月17日(水)23:30~25:55(南海放送制作)

番組概略

4月17日(水)23:14 豊後水道を震源とする地震が発生し、愛南町で県内初となる震度6弱を観測するなど、南予を中心に強い揺れが襲いました。南海放送では県内最大震度が、直ちに県民に警戒を呼び掛ける基準に達していたため、地震発生16分後から、当時放送していた「news zero」を緊急地震特番に切り替えました。夜深い時間で徐々にスタッフが参集する中、県庁や南予の揺れが強かった地域などに取材班を派遣しながら、愛媛の現状や今後気を付けることなどを県民に伝えました。番組は、25:29~25:35の自社制作番組の時間を除き25:55まで続きましたが、今回提出させていただいた映像は、番組冒頭の約30分とJR予讃線の特急列車の停止の中継などが入ってきた時間帯の約30分を抜粋しています。

各委員の意見
  • 松山市や宇和島市の地震発生時の映像やライブ映像、菊間駅付近で停車した特急列車、伊予大平駅からの中継など、徐々に新たな情報を伝える形で展開した、まさに急ごしらえの緊急地震特番で、日頃からこのような事態に備えての準備を万端に整えていたのか、大したドタバタ感もなく、落ち着いて見ていることができる番組になっていた。
  • 常に冷静に、安定した状況で報道することは印象の問題として最重要なことで、その意味ではアナウンサーの立ち居振る舞い、発言とスピード感というのは「落ち着いてください」ということを視聴者に促すもので、今後、より精進していただけると素晴らしいと個人的には感じた。
  • 番組の前半を担当していた高野アナは、第一報を伝える話し方としては「アナウンサーといえど、やっぱりこんな感じになるだろうな」と思いながら聞いていたが、後半の松友アナになると状況もかなり落ち着いてきたのか、とても冷静な口調で話されて、それが見ているこちら側にもすごく安心感を与えるような声だったので、この二人の順番はとても良かったと思った。
  • 「知っている方がいればSNS等で連絡をとってあげてください」というアナウンスがあったが、あれは正解なのかどうか。東日本大震災では、一気に連絡が集中して通信網がつながりにくくなったという事態が発生したので、私も愛南町に知り合いがいたが、連絡は遠慮した。あの場合は「緊急性のない問い合わせは控えてください」と付け加えた方が良かったのではないか、それとも最近はそんな心配は必要ないのかが、ちょっと気になった。
  • 今後起こり得る災害においてテレビが映らない状況に陥る可能性もあるとすれば、なんて不安で心細い世界だろうとも感じ、災害に遭った方々の避難生活など見ると、心を痛めていたにもかかわらず、どこか他人事だったということにも気づかされた。
  • 地震発生時の画面の横揺れは「震度6弱」の恐ろしさをリアルに伝えており、また、JR菊間駅付近で特急が停止し、バスに乗り換えるため乗客が列車内から降りてくる映像は、非常時に起こり得る事態をまざまざと見せつけて、視覚に訴えるという特徴は説得力のある報道になったように感じた。
  • 地震の場合、日本の過去の災害から学び、何が必要な情報であるかはみなさん事前に考えていると思うが、地域住民が欲しい情報をいち早く流すことも重要ではないか。同じことを繰り返し発信しても、あまりインパクトはない。それよりも、地域住民が欲しがっている情報をどう伝えるかが報道機関の役割で はないかと思う。

続いてラジオ番組では、南海放送制作のラジオドラマ『うっちゃり横綱道 前田山英五郎』の合評を行いました。委員の主な意見と感想は次のとおりです。

ラジオ番組
ラジオドラマ『うっちゃり横綱道 前田山英五郎』

放送日時:2024年5月26日(日)13:00~14:30(一部抜粋)(南海放送制作)

番組概略

今や3人に1人以上が外国出身の力士という角界。最初の外国人力士が高見山であることは広く知られています。日本中の人気者になった高見山を発掘し、デビューさせたのが愛媛出身の力士で唯一の横綱、前田山英五郎でした。革新的な実績はそれだけでなく、洋式ベッドや洋式トイレを相撲部屋にいち早く持ち込み、「男も女も関係ない」と女相撲で人気だった若緑を女人禁制の土俵に上げました。

110年前の大正3年、喜須来村(現八幡浜市保内町)に生まれ、14歳で3代目高砂親方に入門した前田山(本名:萩森金松)。暴れん坊だった前田山は力士生命が危ぶまれる病気に罹りますが、前田和三郎医師と出会い奇跡的な回復を見せ、角界の頂点に上り詰めます。しかし、ある事件を機に引退に追い込まれました。伝統を重んじる相撲界で彼はなぜ革命力士になれたのか。数々のエピソードと関係者の声を交え波乱の生涯をラジオドラマで再現しました。

各委員の意見
  • 江刺さんのワイド番組の一部なのかと思わせるようなパートがあったり、実際の地元の関係者の方の声を織り交ぜることで、前田山さんの存在感を非常にリアルに感じることができた。
  • ドラマの合間に挟まれる関係者へのインタビューが、番組自体のリズムを形成していて良かったと思う。前田山の手紙を読み上げた場面は、彼の人柄がうかがい知れた瞬間で、きっと何度も書き直し、心を込めて書いたのだろうと思った。前田山という名前の由来を知った時、彼の実直な人間性に触れた気がして、今では忘れられたような情の深い人だなと思った。
  • 相撲部屋にベッドや洋式トイレを持ち込んだり、外国人力士を発掘したりと改革を成し遂げた前田山は、立派な相撲界の功労者であったことには違いない。子どもの頃から手に負えなかった暴れん坊が、スケールの大きな大人になって名を残す。全てに良い話すぎて、まるで作られたキャラクターを地でいったかのようなサクセスストーリーで、おもしろいラジオ番組になっていた。
  • おそらく歴史を全部詰め込んでしまうとおもしろくならない。それこそこのラジオドラマを作った江刺さんが番組を介して生々しい取材をして、実は街の半分の人が「あいつはロクでもなかった」と話すのも、肉付けとしてはおもしろいネタにもなるし、総じてその地域を盛り上げるという意味では、とても地域貢 献に繋がるドラマになる可能性があるんだなと思いながら聴くことができた。
  • 県出身で唯一の横綱まで務めた力士でありながら、あまりよく知らなかった前田山英五郎について、その魅力や興味深い振る舞いを多くのエピソードや関係者へのインタビューを交えたラジオドラマで、大いに楽しむことができた。愛媛県民が必ず聴かなければいけないラジオドラマ、と言っても過言ではない番組であると高く評価したい。
  • 大観衆の歓声、波の音、赤ちゃんの泣き声、校内のチャイムなどの効果音が的確でドラマの盛り上げにかなり貢献していたように思う。前田山の威勢のいいセリフとは対照的なBGM のアヴェ・マリアは聴き心地が良く、強く印象に残った。

以上
(番組審議会事務局)

番組審議会委員名簿

稲葉隆一(委員長) 大一ガス(株) 代表取締役会長
村田毅之(副委員長 松山大学 法学部教授
山田ひろみ 陶芸家
徳田明仁 愛媛大学 ミュージアム准教授兼広報室副室長
近藤路子 (株)フードスタイル 代表取締役
宇佐美まこと 作家
長井基裕 愛媛新聞社常務取締役常務執行役員