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番組審議会

番組審議会とは、南海放送が放送する番組の向上改善と適正を図るため、放送番組等の審議を行うことを目的として設置された審議機関です。


第717回 番組審議会

第717回番組審議会が、7月25日(木)本社8階役員会議室で開かれました。
7名の委員より、テレビ、ラジオそれぞれの合評番組について審議が行われ、テレビ番組では南海放送が制作した「日本のチカラ#388 くうちゃんとしげちゃん~ふたりだけの桃源郷」について、委員から次のような意見が出されました。

テレビ番組
「日本のチカラ#388 くうちゃんとしげちゃん~ふたりだけの桃源郷」

放送日時:2024年7月1日(日)10:25~10:55(南海放送制作)

番組概略

佐賀繁志さん(しげしさん・76歳)と久寿美(くすみ)さん(くぅちゃん・73歳)は愛媛と高知の県境に位置する、人口200人に満たない久万高原町中津で暮らしています。自給自足、自然とともに暮らす、笑顔の絶えない日々。静かな山里ですが、春になるとその様子は一変します。

車1台がやっと通れるほどの狭い道に、続々とやってくる人!目的は夫婦が育てた600本の花桃。17年の歳月をかけ、夫婦二人で築き上げた桃源郷「花桃の里」は、全国各地から約1万人がやってくる、町の観光スポットになりました。しかし、大型の台風が四国に接近し、手塩にかけて育てた花桃が根本から倒れる被害に。花桃の里始まって以来の大きな問題にくぅちゃんとしげしさんは...。小さな山里に春を呼ぶ、花咲かじぃじとばぁば4年間に密着しました。

各委員の意見
  • 笑い声がこんなにも心を和ませてくれるとはと新たな気づきがあり、職場でも家庭でも、これだけ明るくてその場を照らすような笑い声というのは、もう何年も聞いたことがないような気がして、スタッフが常に気を配って、二人の発する言葉をつぶさに拾い、効果的に編集していたように思った。
  • まず、映像にも目を奪われ、ドローンで撮った里と段々畑、定点観測で花が咲いていく様子をとらえた映像などが印象に残り、ご夫婦のやり取りもインタビュー形式ではなく、自由にしゃべってもらっているのが良く、より、お二人の人となりがわかった。
  • 花の時期以外の草刈りや樹勢の管理など、実際には1年のほとんどを費やす苦労の多い作業の様子をつぶさに紹介していて、お二人の仕事の尊さを実感でき「夫婦円満の秘訣は知らん顔」はまさに金言で、お二人の睦まじさを感じる小さなエピソードの集合体になっていて、ニコニコしながら見ることができた。
  • きれいな花桃と、それよりさらに素敵なご夫妻を見せてもらえて、とてもハッピーになる番組で、山の至るところから二人の笑い声がこだまのように響き渡り、山全体が現実離れした世界のようで、生きがいを持つとはこういうことかなと思わせるような、良い夫婦のお手本を見せてもらえた気がした番組で、心して見習いたいと思った。
  • 1枚の風景画を見ている感じで、退職後のご夫婦の人生模様を外側から俯瞰して見せてもらっている、作品を良い気分で見ている程度の番組でいいのかなと。そこから先の課題についていろいろ考えてしまうと、社会問題の解決方法など思考の方向が変わってきてしまう気がした。
  • 4年間も密着取材した成果が現れて、花桃の話題だけでなく、ヤマガラがしげしさんの手からエサをもらうところや、つくしが元気に出ているところ、夫婦得意のこんにゃく作り、お孫さんが花を背景に振袖姿の記念撮影など、素敵な映像も盛りだくさんの番組だった。

続いてラジオ番組では、南海放送制作の『薫ちゃんへ~認知症の妻に贈るラブレター』の合評を行いました。委員の主な意見と感想は次のとおりです。

ラジオ番組
「薫ちゃんへ~認知症の妻に贈るラブレター」

放送日時:2024年5月28日(火)19:00~20:00(南海放送制作)

番組概略

愛媛県伊方町に、20年間認知症と向き合っている一組の夫婦がいます。金森一臣(いちおみ)さん75歳、妻、薫(かおる)さん75歳。53歳のとき、妻薫さんの物忘れがひどくなり、大学病院で下された診断は「アルツハイマー型若年性認知症」。 介護を始めた11年前から、一臣さんは毎日ノートに二人の日々を綴り始めました。薫さんへの愛に満ちた言葉はまるで、認知症の妻に贈るラブレター。

2022年、薫さんは自宅で転倒。その際歯を強打した影響でご飯が上手く食べられなくなりました。体重は35キロにまで減り、ついに一臣さんは薫さんの特別養護老人ホーム入所を決意します。 そして入所後も、一臣さんはラブレターを書き続けます。それは、アルツハイマー型認知症の妻に自分にできることは何かを考え続けた20年の物語です。

この番組は7月5日に開催された2024年日本民間放送連盟賞中国・四国地区ラジオ番組部門審査会において、教養種目で最終を受賞しました。同じくエンターテインメント種目で最優秀に選ばれた『ラジオドラマ「うっちゃり横綱道 前田山英五郎」』(6月番組審議会での合評番組)とともに中央審査に進みます。

各委員の意見
  • やはり途方に暮れてしまうというか、1日1日と時が経っていくことが非情で残酷に感じて心が沈んでいったが、忘れてしまいたいほど気分が悪いわけではなくて、ずっとこのこと心に留めておこうと思える何かを感じることができ、湿って消えないシミみたいな、心にジトッと残ったような気分になった。
  • ナレーションの新山純子さんの落ち着いた語り口は印象的で、「薫ちゃんの介護度が上がって一臣さんへの負担が大きくなったはずなのに、逆に気持ちは軽くなった気がする。それは薫ちゃんの、一臣さんへの信頼度が大きくなったから」というナレーションは、本当に心に響いた。
  • 一臣さんのラブレターは自己満足ではないのかとも考えるが、やはり文字にしてこれを吐き出さなければ、一臣さんの心も崩壊していたのではないかと想像してしまい「笑わせようとすると悲しい」「薫ちゃんには今日はある、明日もある、昨日はない」「記憶という葉っぱがほとんど残っていない」など、一臣さんが書いたラブレターに出てくる言葉は非常に印象的だった。
  • このラジオ番組はドキュメンタリーではあり、事実であるし苦しいことなんだけど、だから単純に光がないというわけではない、と伝えていた番組で、妻の存在自体が彼の存在であり、彼にとっての光が、今後どんなラブストーリーにできるのか、「東京ラブストーリー」とは段違いのレベルの「愛媛ラブストーリー」があるかもしれない、そんなことを思いながらもこの放送を聴いた。
  • 全体的にゆったりとした一連の流れがとてもわかりやすかったし、一臣さんの心の動きが手紙と共に紹介されていて、しっかり伝わって、わかりづらい展開もなく、順を追ってここに至るまでの経緯がうまく表現できていたと思う。一臣さんの生の声や、女性の落ち着いたナレーション、ラブレターを読む男性の声など、いろいろな声が混じどれも同一のトーンで聴こえたので話の内容がすっと入ってきた。
  • 「常に、明るく元気である」との印象が強い小川貴弘アナウンサーによる、別人かと思わせるような低いトーンの語りも見事で、明るく聴ける内容ではなかったので、合間合間に番組内容によく合った音楽が、長めに流されたのは一息つくタイミングになり、とても良かったと思う。
  • 日本で今、高齢者は数多く誰がどうなっていくかは誰にもわからないのでこういった問題を提起することは非常に意義があることで、聴いていて胸にぐっとくるものがあった。

以上
(番組審議会事務局)

番組審議会委員名簿

稲葉隆一(委員長) 大一ガス(株) 代表取締役会長
村田毅之(副委員長 松山大学 法学部教授
山田ひろみ 陶芸家
徳田明仁 愛媛大学 ミュージアム准教授兼広報室副室長
近藤路子 (株)フードスタイル 代表取締役
宇佐美まこと 作家
長井基裕 愛媛新聞社常務取締役常務執行役員