番組審議会
番組審議会とは、南海放送が放送する番組の向上改善と適正を図るため、放送番組等の審議を行うことを目的として設置された審議機関です。
第722回 番組審議会
第722回番組審議会が、12月13日(金)本社8階役員会議室で開かれました。
7名の委員(内2名はレポート提出)より、テレビ、ラジオそれぞれの合評番組について審議が行われ、テレビ番組では南海放送が制作した「ZIP!がおじゃまします」~道後・しまなみから全編生中継~について、委員から次のような意見が出されました。
テレビ番組「ZIP!がおじゃまします」~道後・しまなみから全編生中継~
放送日時:2024年11月22日(金)5:50~9:00(一部抜粋)(南海放送制作)
番組概略
2年前にスタートしたZIP!が地方から全編生中継する「ZIP!がおじゃまします」が愛媛にやってきた!今回のテーマは「陸・海・空から 道後温泉&しまなみ海道 全部見せ」。
水卜麻美アナウンサーとオードリー春日さんが道後温泉としまなみ海道に分かれて3時間10分たっぷり生中継!番組前半は今年大リニューアルを遂げた道後温泉を水卜アナウンサーが徹底攻略!春日さんは船に乗ってしまなみ海道の絶景を駆け巡る。番組後半は番組史上初のヘリ移動で水卜アナがしまなみ海道に上陸!サイクリストの聖地で春日さんとサイクリングし大島へ上陸。ラストは楽&航の旅するエプロンチームが島グルメでおもてなし!スタッフ総勢90人、カメラ15台でお送りするSP企画です。
各委員の意見
- 瀬戸内に暮らす私たちからすると、あのような日の出の光景はこの時期特有で、かえって季節を感じるというのは地域のオリジナリティーだと思うが、地元ならではの事情はよその人にはわからない。そんなことを考えている中で「ZIP!」史上初というヘリ移動は大きなインパクトを与えたと思う。
- 一番感心したのは水卜アナの進行で、お見事でした。道後温泉からしまなみ海道までスラスラと紹介され、地元の方かと思うほど全てを熟知されており。しかも所々に入る水卜アナの発する言葉がとてもチャーミングで、笑いをとったり突っ込まれたりと人柄まで伝わる仕事ぶりには唸ってしまった。
- 春日さんがいる船上の暗闇から次第に明るくなっていく様子は、時間の経過がよくわかり、まさに生中継の醍醐味だったと思う。それにしても、春日さんのそばにいる小川アナがダウンジャケットの重装備なのに、春日さんは半袖シャツにベストで、しかも全然寒そうにしていない姿にはプロの心意気を感じた。
- 割と入念なリハーサルを繰り返して、台本通り進行するものと聞いているが、今回のような番組を作り上げるとなると、生放送ワイド番組でありながら、ある意味では3時間のお芝居か舞台を見せられているような、演者全員が演じているという感覚になるものではないかと。そういう視点で見ると、例えば食レポの水卜さんのリアクションはそうではなかった。水卜さんは本番で初めて食べると聞いてすごく腑に落ちた。
- 全国放送という位置付けであり、最大公約数的な作りを前提とすれば、話題性が高く有名なスポットを現場リポート形式で取り上げるのは当然かと思うが、ただ、県外に誇る観光地は道後温泉としまなみ海道しかないのかと考えさせらて、海外から注目を浴びる大州など、南予に焦点を当てるというチャレンジがあってもよかったのではないか。
- ときおり地図を示して現在位置の説明をしていたことや、神の湯の入浴料、「霊の湯休憩室」利用客専用の個室の使用料、しまなみでのレンタル自転車代などがきちんと具体的に示されていたのは、道後を訪れようという視聴者にはありがたいものだった。
続いてラジオ番組では、南海放送制作の録音風物誌「じいちゃんのしめ縄は唯一無二!孫プロデューサー奮闘中」の合評を行いました。委員の主な意見と感想は次のとおりです。
ラジオ番組録音風物誌「じいちゃんのしめ縄は唯一無二!孫プロデューサー奮闘中」
放送日時:2024年12月4日(水)6:45~6:55(南海放送制作)
番組概略
「録音風物誌」は、半世紀以上の歴史を持つ録音構成番組です。全国の放送局が、持ち回りでその土地ならではの風俗をそこでしか聞くことのできない音とともに紹介しています。12月の放送を南海放送が担当。師走らしい愛媛の音を届けようと取材しました。
米どころ西予市宇和で生まれ米農家として生きてきた上甲清さん(88歳)は、自宅用に作るしめ縄が評判を呼び、産直市などに出荷するようになります。もともと凝り性の清さんは、宝むずびと名付けた独自のデザインを作り上げ、その美しさが全国から注目されるようになります。
その「じいちゃん」を尊敬し、清さんの生き様を知って欲しいとプロデュースを始めたのは、孫の智香さん(27歳)です。SNSを駆使し、今年の12月には、初めて東京で個展を開くまでになりました。
じいちゃんが大好きでじいちゃんを応援する孫。二人の二人三脚の1年をぎゅっと7分弱にまとめました。
各委員の意見
- じいちゃんをしめ縄職人にした孫の智香さんはすごいなと思う。語りは淡々としていて、今どきの若い女性らしくキャピキャピしたり力んだりせず、落ち着いているところが、祖父を前面に出して自分はバックアップに徹するというご本人のしっかりした性格を表しているようで、おじいさんが本当に好きなんだなと感じた。
- どんな注連縄かが気になってインスタを見たが、想像を超えるクールなデザインで驚いた。和洋問わず、どんなインテリアにもしっくりくる、まさに唯一無二の造形で、「しめ縄職人」というカテゴリーが日本にどのくらいあって浸透しているのかわからないが、これは「しめ縄デザイナー」と名乗って良いのではないかと思うほど素晴らしいもだった。
- こだわりのじいちゃんが、穂が実る前に藁を刈る作業には感心しきりで、藁を刈る音がとても良くて、聴いているだけでのどかな宇和の田んぼの風景までも想像できた。「宝結び」と名付けた独自のデザインの説明や、「稲を磨くとつやつやと輝く」と手間暇を惜しまないじいちゃんの使命感にも、並々ならぬ想いが感じられて、細かいところまで実際に見てみたいなと思った。
- とても聴き心地は良かったですが、この人には多分もっと何かあるなと平野さんが関心を持たれたなら、掘れば掘るほど魅力が見つかるのではないか。上甲さんのしめ縄を知っているだけに、そんなことも感じた番組だった。
- 想像力が乏しくなっておりますので、実際どのようなものなのかについては全く頭に浮かんでは来なかったが、藁がガサガサ擦れる音や、清さんの「刈る音がなんとも言えん」「ぜんぜん変わってきたやろ」といった言葉や声色で、藁を切る鎌や藁の断面図、しわだらけの仕事師の手が、リアルに頭に浮かんできて、「人間国宝」というまで祖父の仕事に惚れ込んで、迷いなく応援する孫娘の自信に満ちた語りは見事だった。
- 短い時間だったが、「録音風物誌」と今週の番組の概要紹介、しめ縄職人・上甲清さんの横顔や活動、しめ縄の魅力、孫の智香さんからの評価などを盛り込んで、職人としての生きざまや、じいちゃんと孫の関係性などを浮かび上がらせた密度の濃さが印象に残り、十分に取材を重ねた成果が作品の質を高めた。
以上
(番組審議会事務局)
番組審議会委員名簿
稲葉隆一(委員長) | 大一ガス(株) 代表取締役会長 |
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村田毅之(副委員長 | 松山大学 法学部教授 |
山田ひろみ | 陶芸家 |
徳田明仁 | 愛媛大学 ミュージアム准教授兼広報室副室長 |
近藤路子 | (株)フードスタイル 代表取締役 |
宇佐美まこと | 作家 |
長井基裕 | 愛媛新聞社常務取締役常務執行役員 |