番組審議会
番組審議会とは、南海放送が放送する番組の向上改善と適正を図るため、放送番組等の審議を行うことを目的として設置された審議機関です。
第712回 番組審議会
第712回番組審議会が、2月27日(火)、本社8階役員会議室で開かれました。
7名の委員より、テレビ・ラジオ、それぞれの優良番組について推薦を頂き、テレビ番組では南海放送制作の「いきもの大好き 自閉症のアニマル画家 石村嘉成」、ラジオ番組では南海放送制作の「歌のない歌謡曲」が、2023年優良番組に選定されました。
2023年テレビ優良番組「いきもの大好き 自閉症のアニマル作家 石村嘉成」
放送日時:2023年7月15日(土)14:55~15:55(南海放送制作)
番組概略
石村嘉成さん(29歳)は新居浜市に住む自閉症の画家。大好きな生き物が躍動する姿を版画やアクリル画で描く。そして、そこには嘉成さんが動物の気持ちになって表現する優しく、力強い「言葉」が添えられている。
嘉成さんが画家として大成するまでの道のりは決して順調ではなかった。2歳のとき、自閉症と診断された嘉成さん。「誰かの助けなしでは生きていけないだろうから、みんなに好かれる子になってもらいたい」との思いで、優しく、ときに厳しく療育に励んだ母の有希子さん。嘉成さんが小学5年生のとき、がんのため他界してしまう。
嘉成さんが絵に込めるのは「生きる希望」と亡き母への愛。アニマル画家として歩んだ10年、絵で伝える想いとは...。
そして今回、愛媛県美術館での個展に向け、嘉成さんが挑むのは全長26mの超大作。恐竜の時代から現代の動物に至る歴史絵巻「アニマルヒストリー」を1年がかりで描く姿を追った。
各委員の意見
- 今回の展覧会を見て、石村さんのことを好きになったり、応援したい気持ちになられた方も多かったのではないかと思う。今後はおそらく愛媛を代表する世界的な芸術家になられる可能性もあり、そういった成長の様子も引き続き追い続けて頂きたいと思って選出した。
- 石村嘉成さんの絵の印象はすごく強かったが、彼の人生そのものにも寄り添うような番組視点、そして自閉症というあまり知られていない病気についても理解することができた。ご両親や絵を教えてくださった指導者についても丁寧に追った番組姿勢も良かった。
- 石村さんのお母さんのお子さんへの教えや、お父さんとの二人三脚の仕事ぶりは本当にすごいなと感じたし、石村家の3人の人生が詰まった本当に素晴らしい作品だった。
- 自閉症の石村さんと彼を支える家族の姿を拝見して、これまで本当に大変だったと思う。自閉症を持つ親や家族は、石村さんのあり方は大きな方向性と自信を持たせることもできたのではないかという位置づけで捉えた。
- わが子の将来を決してあきらめず、生きる希望を見いだそうとしていた有希子さん。闘病中の手記の中で「私のいない環境の中で元の野生児状態に戻ってしまうのではという恐怖。自分の病より、そちらの方が怖かった」とつづっており、無償の愛を印象づけられた。
2023年ラジオ優良番組「歌のない歌謡曲」(最終1週間前+最終回)
放送日時:2023年9月22日(金)+9月29日(金)7:00~7:15(南海放送制作)
番組概略
このほど南海放送は開局70年を迎えましたが、開局した1953年以来放送を続けてきたのが『歌のない歌謡曲』です。南海放送ラジオの最長寿番組が、2023年9月末をもって終了しました。
パナソニック(番組開始当時は、松下電器、その後、ナショナル)の提供のもと、全国37局がそれぞれ各社で制作するスタイルで、朝の慌ただしい時間に流れる心地よいインストゥルメンタルで多くのリスナーを癒してきました。また、年に一度、全国37局が内容を競い合うコンクールも開催され、当社は1999年に最高賞となる金賞を受賞するなど何度も入賞し、昨年も全体4位の秀作賞を受賞しました。この歴史ある番組をアンカーとして、今年1月から担当したのが、入社2年目の松友杏樹アナウンサーです。選曲・コメント内容・編集等すべてをこなしてきました。
番組の構成は、インストゥルメンタルの曲をお送りしながら、その日の朝ワイド番組を担当するアナウンサーが当日の気象情報を生コメント。そしてパナソニックの生CMを挟みながら、その日の暦などを織り交ぜたフリートークを展開します。松友アナウンサー自身のエピソードを含む優しい語り口のトークは好評であったと、番組に寄せられたメールからも伝わってきます。今回は、9/22(金)放送回と9/29(金)最終回をお聞きいただきます。
9/22(金)は、歴代担当アナウンサーのうち最長の33年3か月間担当した戒田節子さんがゲスト出演。戒田さんは、結婚・出産の時期を含めて担当期間中一度も放送を休みませんでした。
9/29(金)は、番組開始前のCM、番組内の生CM、番組終了後のCMを含めてご試聴いただきたいと存じます。70年以上にわたって番組提供を続けてきたパナソニックの思いも伝わってくる内容です。
各委員の意見
- 70年続いた長寿番組の時代背景を考えると、私が生まれる前からこの番組は放送されており、現在まで愛され、惜しまれつつ終わっていくことにすごく郷愁を感じた。また単純に、70年も続いたことを褒め称えたいという気持ちになった。
- 「歌のない」と銘打っているだけに、耳にやさしいインストルメンツの響きが印象的で、松友杏樹さんの声も柔らかで心地よく、穏やかなトークも素敵だった。選曲、コメント内容、編集をアナウンサー一人がこなすということで、そこも好感が持てた。主役は「曲」という制作姿勢は伝わり生CMも、番組に溶け込んでいて良かったし全体のバランスが絶妙だった。
- 番組のつくり自体が非常に新鮮で、人の声もきちんと聴けて頭の中にすんなり入ってきました。番組で流れるパナソニックの生CMも品が良く、新鮮な感じがした。
- 無音声のインストルメンタルに、一人ひとりの人生ストーリーが裏付けされる。その後にナレーションメッセージ、そして企業CMという流れは、とんでもなく強いインパクトを受けた。さらに全国37局それぞれに毎回ストーリーをメイキングさせ、インストルメンタルを選ばせることにより、日本各地のローカライズなストーリー性をリスナーに贈る仕組みも素晴らしい。
以上
(番組審議会事務局)
番組審議会委員名簿
稲葉隆一(委員長) | 大一ガス(株) 代表取締役会長 |
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村田毅之(副委員長 | 松山大学 法学部教授 |
山田ひろみ | 陶芸家 |
徳田明仁 | 愛媛大学 ミュージアム准教授兼広報室副室長 |
近藤路子 | (株)フードスタイル 代表取締役 |
宇佐美まこと | 作家 |
長井基裕 | 愛媛新聞社取締役執行役員編集局長 |