愛媛県はお城や温泉、自然の中の絶景や美術館などが多く、それぞれに驚くほど長い歴史や感動的な物語が詰まっています。
数多ある観光地から今回は「愛媛県の名所14選」とし、特に強く推したい人気施設を簡単にご紹介したいと思います。
これから愛媛県に旅行の予定がある方も、何となく興味があるだけの方も、是非ひとつの候補として、参考にしてください。
※記事内容は2023年6月16日時点のものとなります。
値段やキャンペーンなどは閲覧日により変更されている場合があるため、公式サイトをご確認ください。
愛媛県の名所14選
1.道後温泉
愛媛県への旅が決まれば、最優先したいのが勿論「道後温泉」です。
名前を聞いたことのある人は沢山いらっしゃることでしょうが、いつからあるかはご存知でしょうか?
実は道後温泉は、約3,000年も前から湧出しているといわれています。
当然日本最古といわれており、温泉界の大ベテランです。
時は縄文時代にまで遡り、歴史の教科書の最初のページくらいから既に松山の地に湧いていました。
聖徳太子が病気平癒のために訪れた事実や、夏目漱石の「坊っちゃん」にも道後温泉をモデルとした温泉が登場することなど、日本史や日本文学との密着性があるのが他にはあまり無いポイントで、特別日本史ファンでなくても絶対に行きたい場所のひとつです。
現在は大きく分けて3つの建物から成り、それぞれ雰囲気やテーマ性に富んだ素晴らしい施設になっています。
道後温泉本館
約3,000年ともいわれる歴史に説得力を持たせる、黒く厳かな外観が特徴の本館です。
自然と姿勢を低くし、拝みたくなるほどの凄みがあります。
中では大理石を大胆に使った空間や、白鷺伝説に因んだ絵画を眺めることができ、道後温泉の起こりをしみじみ感じられるでしょう。
道後温泉 椿の湯
椿の湯は「親しみの湯」とも呼ばれるほど、入り易い雰囲気の温泉です。
真っ白な外観に清潔感があり、中の空間は広々として足を伸ばしやすいため、しっかり疲れを取ることができます。
湯釜には正岡子規の句が繊細に刻まれており、雰囲気作りにも抜かりがありません。
道後温泉別館 飛鳥乃湯泉
飛鳥乃湯泉は聖徳太子の入湯という貴重な歴史を忘れないための、唯一無二の施設です。
名前の通り、飛鳥時代の日本史を参考に作られました。
朱色と黒色を基調とした瓦屋根や、暖色の灯りが日本神話的で早速ワクワクします。
内部も、和歌や絣の暖簾などひとつひとつが丁寧で不思議な高級感があり、聖徳太子のように角髪に笏を持った人が現れそうな、神秘的な匂いが付き纏うのです。
道後温泉のWebサイト:https://dogo.jp/
アクセス例……JR松山駅より路面電車で約25分、もしくはタクシーにて約15分→道後温泉駅前→徒歩約5分で着
2.道後温泉周辺
道後温泉はお湯に浸かることそのものは勿論、その周辺の散策も欠かせません。
むしろそこを練り歩いているだけであっという間に1日が終わるほど、充実していて飽きません。
道後ハイカラ通り
道後ハイカラ通りは道後温泉本館から徒歩ですぐの、喫茶店・食事処・愛媛県の特産品など何でもござれな商店街です。
西洋風な雰囲気の中をそぞろ歩いているだけでも楽しいですが、茶寮で銘菓の坊っちゃん団子を頂いたり、ギフトショップで今治タオルなどのお土産を見たり、愛媛県内で買いたいものの多くが揃っているという印象です。
坊っちゃん列車
坊っちゃん列車は、夏目漱石著の「坊っちゃん」の登場人物が乗った列車をモチーフに作られました。
道後温泉駅前から松山市内を走り、観光列車として立派に機能しています。
黒塗りで小さく、おもちゃのように可愛い汽車です。
小さなお子さんは勿論、大人でも童心に帰って是非体験したい乗り物でしょう。
(現在展示は見られますが、運転は当面運休中)
坊っちゃんカラクリ時計
道後温泉駅前の放生園には、坊っちゃんカラクリ時計という立派な時計が飾られています。
30分~1時間おきに、音楽と共に「坊っちゃん」のキャラクターたちが飛び出すメルヘンな演出を見られます。
近くには、道後温泉の源泉を使った足湯も設置されているため、足湯に癒されながら可愛い時計を観賞したいものです。
道後温泉周辺はこの他にも、少し歩けばレストランや小さい神社などがいくつも点在しています。
温泉そのものと共に、お気に入りスポットを沢山見つけてみましょう。
3.松山城
「現存12天守」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、江戸時代以前に建てられた天守で、かつ現代にまで残っているもののことを指します。
愛媛県は、その貴重な「現存12天守」を2つも抱える希少な県で、内ひとつが松山城です。
松山城の天守の標高は161mもあり、「現存12天守」の平山城の中では最大の高さを誇ります。
観賞時には、その立派さに圧倒されるでしょう。
松山城内には、他にも重要文化財に指定される門や櫓などが沢山あり、見どころ満載です。
また、築城主・加藤嘉明をモチーフにした城のマスコットキャラクター「よしあきくん」が、人形やパネルになり、城内を賑わせています。
可愛いよしあきくんに導かれ、是非全ての重要文化財を観賞しましょう。
松山城のWebサイト:https://www.matsuyamajo.jp/
アクセス例……JR松山駅→「道後温泉行き」の市内電車→「大街道」にて下車→徒歩約5分でロープウェイ・リフトのりば着
4.宇和島城
宇和島城も「現存12天守」の存在から、松山城と並んでよく語られる名城です。
築城主である藤堂高虎は「築城の名手」と言われた名将で、愛媛県内の数多の城、中でも海城の建設に何度も携わっています。
攻守共に戦に適した海城の、丈夫な天守やからくりの仕掛けを考案し続けたのです。
現在は埋め立てられてしまったものの、宇和島城もかつては水上の城でした。
天守は白壁が美しく、今でも宇和島市の象徴として立派に聳えています。
宇和島城のWebサイト:https://www.uwajima.org/spot/index7.html
アクセス例……JR宇和島駅から徒歩約15分で着
5.大洲城
大洲城は、松山城・宇和島城と異なり、天守は平成の時代に復元されたものです。
しかし、その復元までの歩みがドラマティックで、多方面から感動の声が上がっています。
明治時代、大洲城の初期天守は老朽化により解体を余儀なくされましたが、現代の地元住民たちの地道な寄付により、何とか復元工事が実現しました。
木型模型や古写真などあらゆる資料に基づき、日々必死の作業を続けた結果、約10年で遂に天守が完成の日を迎えたのです。
この復元天守は地元民の応援、大工さんの頑張りやご丁寧に残された資料たちの力が結集した、まさに大洲市の宝物と言えるでしょう。
復元までの年表を予習してから復元天守を見上げると、感動のストーリーがより身近に迫ってきます。
また、大洲城ではそんな復元天守をもっと細部まで堪能できる、素晴らしいサービスがあります。
何と城に宿泊できるのです。
復元天守や櫓を含む様々な場所を貸し切り、城主にも武士にもなった気分で優雅に過ごせる、特別な経験です。
入城体験を始めとした宿泊者限定のプログラムがある他、用意される繊細な御膳や、天守内に敷かれる高級な白い布団はまさに殿様そのもので、誰でも時代劇の登場人物に変身できます。
地元民や宮大工さんが拘り込めて復元した天守で、最高級の体験をしてみませんか。
大洲城のWebサイト:https://ozucastle.jp/ozu_castle/
アクセス例……JR伊予大洲駅下車→車で約5分もしくは徒歩約20分で着
6.大山祇神社
大山祇神社は、今治市にある、愛媛県内最古の大きな神社です。
全国の山祇神社(山の神様)の中で最も尊い神様として、長年崇められてきました。
本殿や拝殿はいずれも重く厳かな雰囲気で、中では七五三や初宮参りなどの祈祷が盛んに行われ、大事な儀礼に相応しい場所です。
宝物館には源頼朝や木曽義仲の奉納した、国宝指定の武具など重要な宝が多く眠っており、大山祇神社がいかに尊いお宮なのかを示しています。
また、御神木は2,600歳で、あまりにも長い年月を境内で過ごしてきました。
神社の由緒と共にそれらを見ると、不思議な緊張感に思わず息を詰めてしまいます。
大山祇神社のWebサイト:https://oomishimagu.jp/
アクセス例……しまなみ海道(大三島IC)より7㎞、または今治駅からバスで約60分→大山祇神社前下車→徒歩約1分で着
7.村上海賊ミュージアム
村上海賊ミュージアムは、2004年の10月に開館した比較的新しい博物館です。
戦国時代にその名を轟かせた、村上海賊の歴史を伝えるための施設で、子供から大人まで人気があります。
村上海賊は当時、普段は海上の警護や運輸などを行っており、海上の管理関連は全て担っていたと言って良いでしょう。
戦の折にも、水上合戦を得意としました。
専用の小早船を華麗に乗りこなしながら、焙烙火矢など火薬を使った爆発物を器用に投げ、相手を沈黙させるのです。
最近では映画や漫画の影響から、派手な衣装で金品を狙ったり、酒を煽ったりする荒々しいイメージがつきまとう海賊ですが、日本の戦国史における彼らはそうではなく、海上保安に合戦に、和歌や茶道も好み、非常に優しくまめまめしい集団でした。
村上海賊ミュージアムでは、資料展示や甲冑体験を通し、彼ら村上海賊の活躍ぶりを学ぶことができます。
村上海賊ミュージアムのWebサイト:https://www.city.imabari.ehime.jp/museum/suigun/
アクセス例……今治駅より→路線バス約35分→大島営業所(宮窪)より徒歩約20分で着
8.タオル美術館
タオル美術館は今治市にある、「タオル」を主人公にした美術館です。
美術館と言っても、単にタオルが展示されているだけではありません。
外側は椿や桜などの花が沢山植えられており、夜はライトアップで輝き、テーマパークくらいの規模なので、何とここで結婚式も挙げられるのです。
美術館内では、工場でタオルができるまでの過程を分かりやすく再現したコーナーに加え、タオルで作った家やキャラクターぬいぐるみなどのアート展示、ギフトショップやシアターもあります。
また、レストランとカフェも充実しており、ヨーロピアンな雰囲気に惹かれるミュージアムカフェや、美しい緑を眺めながら寛げるガーデンカフェなどが魅力的です。
ミュージアムカフェでは、クロックムッシュやパスタなどの美味しい軽食とフランス産の紅茶を、ガーデンカフェでは可愛いパンケーキを堪能でき、いつまでも居たくなってしまうでしょう。
タオルひとつで美術館が建てられるのは、特産品・今治タオルが有名な愛媛県ならではの特長で、是非とも行っておきたい施設です。
メインとなるタオル展示そのもの以外にも、カフェでお茶をしたい人やガーデンテラスでお花を買いたい人にも向いているので、どなたでも1日しっかり楽しめます。
タオル美術館のWebサイト:https://www.towelmuseum.com/
アクセス例……今治駅下車→タクシーで約25分もしくは壬生川駅下車→タクシーで約15分
9.下灘駅
昭和10年に開業した、小さな無人駅です。
ホームに立って伊予灘を望むと、自分と海以外の一切が取り払われたような、別世界的な感覚にハッとします。
数多くの映画やドラマに登場し、ポスター映えのする綺麗な景観です。
下灘駅のWebサイト:https://www.iyokannet.jp/spot/3580
アクセス例……松山駅から普通列車にて約1時間
10.四国カルスト
愛媛県と高知県にまたがる、絶景が素晴らしい高原です。
緑に囲まれた人気(ひとけ)の無いまっすぐ道は、晴れているとそれは気持ち良く、ドライブやツーリングに最適でしょう。
高原は若い緑色がいつまでも続き、その中で牛が草をのんびり食み、外国映画やアニメのような風景です。
夜は星が降ってきそうなほど眩しく輝きます。
四国カルストのWebサイト:https://www.iyokannet.jp/spot/6614
アクセス例……松山ICから自動車で約95分
11.別子銅山
別子銅山は、新居浜市にある銅山です。
高所からの眺めの素晴らしさやレンガ造りの雰囲気から、別名「東洋のマチュピチュ」とも呼ばれています。
昭和の頃まではここに町があり、住人で大賑わいでした。
閉山した今は、残された石垣やレンガに触ったり、森林浴をしながら散歩をしたりすることで、かつて暮らした人々の痕跡を辿ることができます。
エリア内は広く、記念館や学習館が充実しているため、そこに訪れればより理解が深まるでしょう。
日本の数少ない銅山の、知られざる開拓の歴史はロマンティックで、大人も子供も夢中になります。
別子銅山のWebサイト:https://www.iyokannet.jp/feature/besshi/besshi
別子銅山記念館のWebサイト:https://besshidozan-museum.jp/
アクセス例……新居浜駅からバスで約60分、もしくは新居浜ICから自動車で約60分
12.萬翠荘
萬翠荘(ばんすいそう)は、大正時代に建てられた、旧松山藩の子孫・久松定謨(ひさまつさだこと)の別邸で、今や愛媛県の指定有形文化財です。
当の久松定謨が、フランスでの生活が長かったことから、フランス風の建築になりました。
几帳面に整えられた木々に守られる、白い洋館です。
内部はマントルピースや大きな鏡、階段などひとつひとつがドールハウスのように可愛く、女性に人気があります。
メルヘンチックな内装は、ドレスやタキシードを着て散策したいほどの極上の雰囲気です。
かつては、社交の場としての利用が中心でしたが、現在は芸術品の展示やイベントを開くことが多く、雰囲気に見合った方法で使われ続けています。
萬翠荘のWebサイト:http://www.bansuisou.org/
アクセス例……JR松山駅から市内電車「道後温泉行き」乗車→大街道下車→徒歩約5分で着
13.坂の上の雲ミュージアム
司馬遼太郎の名著「坂の上の雲」をテーマにしたミュージアムです。
建設までの軌跡や、「坂の上の雲」に登場する3人の主人公、秋山好古・真之兄弟と正岡子規の資料の閲覧など、様々な学習ができます。
ミュージアムカフェでは、愛媛県の銘菓や、「坂の上の雲」の登場人物の肖像画が描かれたドリンクを堪能でき、こちらも良い記念になります。
明治時代の日本に興味がある方、小説内で激動の時代を足掻いた主人公たちにもう一度会いたい方は、是非お越しください。
坂の上の雲ミュージアムのWebサイト:https://www.sakanouenokumomuseum.jp/
アクセス例……JR松山駅から市内電車「道後温泉行き」乗車→大街道下車→徒歩約2分で着
14.石鎚山
石鎚山は、日本百名山や日本七霊山のひとつに数えられる神聖な山です。
古くから山岳信仰の山として知られ、山伏たちの息づかいが感じられるようでもあります。
山頂からの瀬戸内海が絶景なため、ロープウェイなどを駆使した登山コースによく選ばれており、登りきれば達成感と同時に山伏の修行の厳しさを痛感できるでしょう。
石鎚山のWebサイト:https://www.iyokannet.jp/spot/413
アクセス例……JR松山駅前からバスにて約100分→石鎚神社前着→徒歩ルートで石鎚山へ
愛媛県の名所14選のまとめ
以上、愛媛県の名所14選として、ごく簡単にそれぞれの観光地を説明しました。
全て耳にしたことのある方も、そうでない方もいらっしゃったかもしれません。
しかし、これら14の場所にはいずれも文化遺産を尊ぶ強い気持ちが共通していることは伝わったでしょう。
愛媛県の遺産が持つ歴史は、大正や明治は勿論のこと、それより太古のものがかなり多いです。
大山祇神社に奉納された武具は源平合戦の折のものですし、他にも3,000年前からの道後温泉、各城の現存天守など、持ち物の古さではほとんど他県に負けることは無いと思います。
更に、昔を今に伝える努力や、無いものを再現しようという動きに余念がありません。
聖徳太子の来湯に因んだ飛鳥乃湯泉然り、大洲城の復元天守に纏わる10年以上の取り組み然り、村上海賊や激動の明治を伝えるためのミュージアム然りです。
このような施設の建設や復元は、その地で活躍して散っていった者たちのことを伝えたい、供養をしたいとか、或いは古代から続く遺産を守らねばならないという使命感が無ければ決して叶わなかった事柄です。
愛媛県観光においては、そういう軌跡を何度も目の当たりにすることができます。
それぞれ絶景の堪能や楽しい学習は勿論、今ある物が継がれていくことの尊さを実感できるはずです。
感動的な文化遺産たちの集合地帯に、是非沢山の方においでいただきたいと思います!