Amazonプライム、Disney+など、いまや多くの人が当たり前のように利用している動画配信サービス。しかし近年、こうしたサブスク型のサービスにおいて料金改定=“値上げ”のニュースが相次いでいます。
2025年も例外ではなく、複数の人気サービスが月額料金を引き上げました。「昔より高くなった」「コスパが悪く感じる」といった声も増え、サブスク疲れを感じ始めている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、2025年に値上げ・料金改定があったサービスと、依然として料金が据え置かれているサービスを一覧で紹介します。加えて、「なぜ値上げが続くのか?」という背景についても、業界全体の動向を交えて詳しく解説。
「いま使っているサービスの料金って上がった?」「これから加入するならどこがコスパいいの?」と気になっている方に向けて、後悔しないVOD選びのヒントとなる情報をお届けします。
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※記事内容は2025年5月16日時点のものとなります。値段やキャンペーンなどは閲覧日により変更されている場合があるため、公式サイトをご確認ください。
なぜ動画配信サービスの値上げが続くのか?
「また値上げ?」「どうしてこんなに高くなっているの?」
そんな疑問を感じている人も多いはずです。ここでは、動画配信サービスが次々と料金改定を行っている主な理由について解説します。
オリジナルコンテンツ制作費の高騰
動画配信サービス各社は、他社との差別化を図るために独自のドラマ・映画・アニメなどの“オリジナルコンテンツ”を積極的に制作しています。
たとえばAmazon Prime Videoの『ロード・オブ・ザ・リング: 力の指輪』や『ザ・ボーイズ』、Disney+の『SHOGUN 将軍』『マンダロリアン』などは、世界的なヒットとなりました。
これらの作品は莫大な制作費がかかるだけでなく、視聴者の期待値も年々上がっているため、よりクオリティの高いコンテンツ作りが求められています。そのため、制作コストは増加の一途をたどっており、その負担を月額料金に反映せざるを得ない状況となっています。
為替やインフレによるコスト増
多くの動画配信サービスは海外資本で運営されており、日本での価格設定にも為替の影響が出ています。特にここ数年、円安が続いていることでドル建ての運営コストが増加し、その分を月額料金に上乗せする傾向が顕著になっています。
また、世界的なインフレによって、サーバー運用費・ライセンス契約・人件費などのコストも上昇しており、全体的なコスト構造の見直しを余儀なくされている状況です。
契約者数の頭打ちと収益構造の見直し
サービス開始当初は急成長していた動画配信市場も、近年では利用者の伸びが鈍化し、契約者数が頭打ちになってきています。
そのため、多くの事業者は「新規顧客の獲得」よりも、「既存ユーザーからの収益最大化」へとシフトしています。広告付きプランの導入、広告なしプランのプレミアム化といった多層的な価格帯戦略が広がっており、その一環として値上げが行われているのです。
外的要因による業界全体のコスト上昇
2023年には米国でハリウッド俳優・脚本家による大規模なストライキが発生し、業界全体のコンテンツ制作スケジュールが大きく乱れました。この影響は2024年、2025年にも及んでおり、多くのVODプラットフォームが制作の遅延リスクや契約再交渉などのコスト増に直面しています。
また、ウイルス流行以降のリモート制作体制の強化や、映像技術の高度化なども、運営コストの一因となっています。
2025年に料金改定・値上げがあったサービス
2025年に入り、複数の動画配信サービスで料金の改定が行われました。以下に、各サービスの新旧料金や改定時期、背景について詳しく解説します。
Disney+(ディズニープラス)

- 新料金(2025年4月1日以降)
・スタンダードプラン:月額1,140円(税込)
・プレミアムプラン:月額1,520円(税込) - 旧料金(〜2025年3月31日まで)
・スタンダードプラン:月額990円(税込)
・プレミアムプラン:月額1,320円(税込) - 改定時期
・新規加入者:2025年4月1日より新料金が適用
・既存加入者:2025年5月より順次切り替え - 値上げ幅
・両プランとも月額150〜200円の値上げ - 改定の背景
Disney+は、マーベル、スター・ウォーズ、ピクサー、ナショジオなどを擁する強力なブランドを持つ動画配信サービスです。世界規模でのオリジナルコンテンツ強化や、UI/UXの改善、多言語対応の拡張などに伴い、運営コストが増大していることが今回の値上げ理由とされています。
また、広告付きプランの展開(日本では未導入)に加え、世界的に「価格帯の最適化」が進められており、日本でもその流れに沿った料金改定となりました。
TELASA(テラサ)

- 新料金(2025年3月1日〜):月額990円(税込)
- 旧料金(〜2025年2月29日):月額618円(税込)
- 値上げ幅:実質372円のアップ(約60%の値上げ)
- 改定の背景
TELASAは、KDDIとテレビ朝日が共同運営する日本発の動画配信サービスで、テレビ朝日系の人気ドラマを中心に、映画・アニメ・バラエティなど幅広いラインナップを提供しています。
今回の大幅値上げは、以下のような理由が挙げられています。
- ライブ配信の強化(音楽・スポーツ・格闘技など)、TELASAオリジナルコンテンツの充実
- 会員特典の強化(映画館のクーポンなど)
- ドラマやアニメなど他ジャンルコンテンツの拡充
料金は上がりましたが、それに見合ったコンテンツ強化が図られていることから、「以前よりもお得に感じる」という評価の声も一部にあります。
Amazonプライム

- 料金
・月額プラン:600円(税込)
・年額プラン:5,900円(税込)
※2023年に値上げされて以降、2025年時点では据え置き - 改定されたのは料金ではなく“視聴体験”
2025年4月以降、Amazonプライムの動画視聴に広告が導入され、広告なしでの視聴を希望する場合は追加料金(月額390円)が必要になりました。 - 実質的な値上げとされる理由
料金自体は据え置かれているものの、これまで広告なしで視聴できていた動画が、デフォルトでは広告付きになったことで、「今まで通りの快適な視聴体験を維持するには追加課金が必要」という状況に。
これにより、多くのユーザーにとっては「実質的な値上げ」と感じられる結果となっています。 - 改定の背景
AmazonはPrime Video単体ではなく、音楽、電子書籍、買い物特典などを含んだ総合サブスクモデルです。アメリカなど海外ではすでに「広告付きプラン」が導入されており、日本もそれに倣った対応です。収益性の改善と広告収益の強化が主な狙いとされています。
料金が据え置かれているサービス
2025年現在、値上げの動きが加速する中でも、料金を据え置いたままサービス提供を続けている動画配信サービスもいくつか存在します。
ここでは、料金が変わらずに利用できる主要サービスをピックアップし、「なぜ据え置きで提供できているのか」や「どんな人におすすめか」といった視点からも解説していきます。
Hulu(フールー)

- 料金:月額1,026円(税込)
- 料金改定:なし(2023年以降、価格維持)
Huluは、日本テレビ系列が展開する動画配信サービスで、国内外のドラマ、バラエティ、映画、アニメといった幅広いジャンルのコンテンツを提供しています。
特に日テレ系の最新ドラマの見逃し配信や、海外ドラマ(CSIシリーズ、LAW & ORDERなど)の充実度が強みです。さらに、「Huluオリジナル」作品の質も高く、1,000円前後で安定して視聴できる点が高く評価されています。
広告付きの低価格プランなどを設けることなく、中価格帯での質の高いサービス提供を維持していることが、据え置きの背景にあると考えられます。
U-NEXT(ユーネクスト)

- 料金:月額2,189円(税込)
- 料金改定:2023年のParavi統合以降、現状維持
U-NEXTは、国内最大級の配信本数を誇るVODサービスで、映画・アニメ・ドラマ・マンガ・雑誌読み放題など、多機能型のサブスクとして人気です。
一見すると月額2,189円は高めに感じるかもしれませんが、毎月1,200円分のポイント還元があるため、実質的な負担は低く、最新映画のレンタルや漫画購入に活用できます。
Paraviとの統合を経て、TBSやテレビ東京などのコンテンツも充実しており、値上げなしでも“付加価値”を拡充することで満足度を高めているのが大きな特長です。
DMM TV

- 料金:月額550円(税込)
- 料金改定:なし(2022年サービス開始以来、価格据え置き)
DMM TVは、アニメや2.5次元舞台、声優番組、バラエティなどを中心に展開する比較的新しい動画配信サービスです。アニメ作品数は業界トップクラスで、特に若年層のユーザーから高い支持を受けています。
DMMブックスやDMM GAMESなどとの連携が強みで、月額550円という圧倒的な低価格ながら、初回登録で14日間無料トライアル、ポイント付与などのお得なキャンペーンも豊富です。
コスパ重視で選ぶなら、最有力候補のひとつといえます。
Lemino(レミノ)

- 料金:月額990円(税込)
- 料金改定:なし(2023年サービス開始以降)
Leminoは、NTTドコモが展開する動画配信サービスで、旧「dTV」からリブランドされたプラットフォームです。バラエティ、音楽ライブ、映画、韓国ドラマなど多ジャンルを網羅しつつ、感情タグによるレコメンド機能など独自性の高い設計が特徴です。
ドコモユーザー以外でも利用可能で、dポイントとも連携しているため、日常の買い物や携帯料金と合わせてお得に運用できる点も魅力です。
dアニメストア

- 料金:月額550円(税込)
- 料金改定:なし(長年価格据え置き)
アニメ特化型VODの代表格であるdアニメストアは、最新アニメの見逃し配信・旧作のアーカイブ数ともに国内トップクラス。アニメファンには欠かせない存在となっています。
スマートフォン1台からでも軽快に再生でき、オープニングスキップ機能や倍速再生などユーザビリティも良好。必要最小限に絞ったサービス設計でコストを抑えていることが、価格据え置きの大きな要因です。
ABEMAプレミアム

- 料金:月額960円(税込)
- 料金改定:なし(2020年以降、価格維持)
ABEMAプレミアムは、ニュース・恋愛リアリティ・スポーツ・アニメなどジャンルに特化したオリジナルコンテンツの質の高さが魅力。プレミアム登録者向けにはCMなし再生、追っかけ再生、ダウンロード再生など多数の機能が提供されています。
ABEMAはテレビ朝日とサイバーエージェントが共同出資するメディアで、ABEMA TVの無料配信をベースとしつつ、プレミアム層には付加価値を加えて収益化しているのが特徴です。
今後、ライブ配信型のスポーツ・音楽事業の拡張により値上げの可能性もゼロではないですが、現時点では良心的な価格を維持しています。
まとめ|あなたに合った動画配信サービスを選ぶために
2025年に入ってからも、動画配信サービスの料金改定やプランの見直しは続いています。
特にDisney+やTELASAなどは、月額料金がこれまでよりも数百円単位で値上げされており、サブスク全体で“コストを意識した選び方”が求められるようになってきました。
一方で、HuluやU-NEXT、DMM TV、dアニメストアといったサービスは、料金を据え置いたまま、独自の強みや豊富なコンテンツを武器に、ユーザーの満足度を維持し続けています。
また、Amazonプライムのように“料金は据え置きでも視聴体験に影響がある”ケースもあり、今後は「単に安いか高いか」だけでなく、「どんなスタイルで、どんなコンテンツを楽しみたいか」が選択の基準になっていくでしょう。