番組審議会
番組審議会とは、南海放送が放送する番組の向上改善と適正を図るため、放送番組等の審議を行うことを目的として設置された審議機関です。
第730回 番組審議会
第730回番組審議会が、9月19日(金)本社8階役員会議室で開かれました。
7名の委員より、テレビ、ラジオそれぞれの合評番組について審議が行われ、テレビ番組では南海放送が制作した 参院選えひめ選挙特番「前日にやっても委員会」について、委員から次のような意見が出されました。
テレビ番組参院選えひめ選挙特番「前日にやっても委員会」
放送日時:2025年7月19日(土)13:30~14:25(南海放送制作)(YouTubeでも同時配信)
番組概略
"県内の有権者の投票行動に資する番組"を目指し、南海放送としては初めて投票日前日に放送した選挙特番です。番組は県内の1000人を対象に行ったアンケートをもとに、県民の選挙に関する疑問に答えていく形で進行。
「そもそもどんな人が立候補しているの?それぞれの違いは?」と「選挙に行く意味って何なの?」という大きく2つのテーマで展開しながら、ショッピングセンターの期日前投票所や、高校生が行った「子ども選挙」の会場からの中継も交え、"投票前"に役立つ情報を発信しました。
"誰もが気軽に見られる堅くない選挙番組"を目指し、生放送の番組内にはオリジナルのキャラクターを登場させたほか、手書きのフリップを多用するなど、取っつきやすい雰囲気を演出しました。
各委員の意見
- 冒頭の白石チーフの演説(演出)は上手だったと評価しました。選挙制度自体が根本的な問題を含んでいるため、選挙報道の難しさを指摘し、番組の質や量について十分な検討が必要だと述べました。新しい挑戦である事前報道は、今後も経験値を高めていくことに期待を寄せました。また、投票率が県内で57%ほどに上昇した事実を挙げ、今回の番組のような活動を継続していくことが、報道機関の重要な役割であると改めて認識しました。
- 制作意図(立候補者はどんな人か、選挙に行く意味は何か)は伝わり、報道部の意気込みを感じた点について高評価しました。5人の候補者の人柄や横顔は丁寧に描かれていたものの、2名の候補者の放送時間が短かったことについて、制作側で議論があったかを確認しました。大学生アンケートの「プライベート優先」という結果から、若者へのさらなる努力が必要だと感じました。番組終盤の「愛媛これまでの1票」のコーナーが感動的で、視聴者を投票に行かせたという点で、今回の制作意図は実現できた番組だと高く評価しました。
- 白石チーフのベテランの風格、親しみやすい番組内容、オリジナルキャラ「県民仙人」の登場などを評価しました。期日前投票者として、放送時期をもう少し早めるべきだったと提案。期日前投票は手ぶらでも可能という事実を番組で初めて知って驚いたとのこと。松山大学のアンケート設問に「大事な」という言葉を付けた意図を確認したほか、後半に登場した杉本記者が上野由佳氏(候補者)に酷似していたため、見間違えを防ぐためにヘアスタイルを変えるなどの工夫を提案しました。
- 4月のYouTube特番の緩い雰囲気が残っていたが、前日放送として求められる情報が整備されており、「ちょっとつまらなかった」が安心して見られたと評価しました。地元局ならではの横顔取材は、SNS情報と比較して信用性が高いと感じました。高校生の選挙体験も有意義で、投票方法の4択説明は丁寧だったものの、結果どれが良かったのか気になりました。担当外のパートで後方に座っていた上田・杉本記者がニコニコしてカメラを見ていたのが気になり、「それなら3人並べばいいのに」と疑問を呈しましたが、制作側はこの演出が視聴者の関心を持つきっかけになったと捉えました。
- 若者世代の視聴率が低く(2.1%)、目的達成に課題があるとし、SNS時代における報道機関の役割検証としての放送経緯を知りたいと質問。冒頭の「わかった、わかった」という発言は、旧来型の威圧的な候補者の固定概念を無意識に感じさせたとして、演出かアドリブか確認しました。投票は「義務でなく権利」というメッセージは非常に重要だと高く評価しました。若者への啓蒙には、投票の疑似体験企画が効果的ではないかと提案。全体として、既存メディアへの不信感を払拭する素晴らしい挑戦であり、その実績は報道の強みになると総括しました。
- 有権者の投票行動に資するなら、放送は前日よりもう少し早めが良いと指摘があり。候補者間で放送時間に差が出たことに対するクレームの有無を確認しました。吉田教授の「5.5万円損」説よりも、まともに働かない議員の歳費が無駄になる点を前面に出すべきと提言。抽象的な政策理念を深掘りし、具体的な実現方法を語らせるべきだと求め、当選議員の国会活動の検証を継続するようメディアに強く要求もあり。今後の国政選挙でも投票前特番を継続についての言及もあり。
- 期日前投票やSNS情報増加の昨今において、本企画は有効だと評価。SNSの虚偽情報に対抗し、テレビなど従来メディアが正確な情報を発信することが重要だと強調された。高校生の模擬投票は、若者の意識を選挙に向けさせる良い企画だと感想も。選挙の歴史を伝え、投票が庶民の権利になったことの重要性を強調したのは良かった。また、候補者が選挙後、上京して姿が見えなくなる問題に対し、メディアは当選議員の活動に常に目を光らせ、電話インタビューなどで近況を伝え続けるべきだと提案があり。
続いてラジオ番組は、南海放送が制作した伊予市政20周年記念ラジオドラマ「DAIKON-MAN」の合評を行いました。委員の主な意見と感想は次のとおりです。
ラジオ番組伊予市政20周年記念ラジオドラマ「DAIKON-MAN ~栄養学の父・佐伯ただす~」
放送日時:2025年8月31日(日)13:00~15:30(南海放送制作)
番組概略
伊予市制20周年を記念し、郷土の偉人をテーマとした市民参加のエンターテインメントラジオドラマを制作しました。取り上げたのは「栄養学の父・佐伯矩(ただす)」。
幼少期から大学進学まで伊予市で育った佐伯矩(生まれは西条市)、一般的な知名度は低いですが、実は栄養学界では有名人。明治35(1902)年、内務省伝染病研究所に入り、北里柴三郎博士の下で細菌学及び酵素について学びました。そして、
①大根から消化酵素「ラファヌスジアスターゼ」を発見
②学校給食を全国に普及
③世界初の栄養研究所や栄養学校を設立し、栄養士制度を確立
④そのまで「営養」と表記されていたのを、文部省に建言して「栄養」に改めた
のが佐伯矩。「栄養学の創始者」「栄養学の父」と称されています。
この佐伯矩の生涯を、県内で脚本家、演出家、俳優として活動する近藤誠二氏と江刺伯洋アナウンサーがラジオドラマ化。出演はオーディションで選ばれた伊予市民ら22人。ACジャパンのCM「違法だよ!あげるくん」のトメ吉の声をしている俳優・声優・ナレーター森一馬さん、東京ディズニーシーや坊ちゃん劇場の舞台にも立った俳優・歌手の山口恵利佳さんも加わりました。
各委員の意見
- ラジオ番組の番組制作のねらいと経緯を江刺マネージャーに質問あり。新しい挑戦には障害や苦労が伴うものの、この経験を活かして楽しみながら企画を続け、経験値を高めていってほしいと激励の言葉もあった。
- ドラマは佐伯矩の人生を幼少期から晩年期まで4つの年代に分け、メリハリがあり分かりやすい構成だと評価。女性の独唱やコーラスがテンポを生み、佐伯本人を時空列車に乗せて登場させたことでドラマが立体的になったと感想もあった。MCの江刺アナは、長尺となった番組を映画に比べると長くない、など、一般のリスナーに響く話をするセンスの良さを感じた。市長の話が想定より長くなっても動揺せずに対処した点も評価し、番組制作の意図が十分に実現できた番組だと総括しました。
- 市民参加型のエンターテインメントラジオドラマとして皆が楽しめ、江刺アナの元気な声が会場を明るく照らしていたと評価。市民の方々と共に作り出す企画力は抜きん出ているとの感想も。佐伯矩の声を世代ごとに4名が演じる細かい演出に感心し、ナレーションが「ただすくん」と呼ぶところに親しみを感じました。武智市長の長時間発言に対し、江刺アナの見事な返しとツッコミはスマートで面白く、さすがだと評価しました。ラジオドラマ作りは南海放送の強み・お家芸であり、江刺アナの単独脚本制作への期待を寄せました。
- 佐伯矩が暮らしていた伊予市の住まいが自身の実家の離れだったという個人的なエピソードを披露。父が佐伯矩を知らずに愛用の文机を燃やしてしまったと語り、知ってしまった以上、後世に伝えなくてはならないという強い気持ちになったとのこと。公開収録でミスは多かったものの、ドラマは迫真の出来栄えであり、特にプロが参加した歌のパートのクオリティが素晴らしいと評価。この機運を市長がどのように発展させていくか楽しみにしていると。
以上
(番組審議会事務局)
番組審議会委員名簿
| 稲葉隆一(委員長) | 大一ガス(株) 代表取締役会長 |
|---|---|
| 村田毅之(副委員長 | 松山大学 法学部教授 |
| 山田ひろみ | 陶芸家 |
| 徳田明仁 | 愛媛大学 ミュージアム准教授兼広報室副室長 |
| 近藤路子 | (株)フードスタイル 代表取締役 |
| 宇佐美まこと | 作家 |
| 長井基裕 | 愛媛新聞社常務取締役常務執行役員 |