番組審議会
番組審議会とは、南海放送が放送する番組の向上改善と適正を図るため、放送番組等の審議を行うことを目的として設置された審議機関です。
第734回 番組審議会
第734回番組審議会が、1月30日(金)本社8階役員会議室で開かれました。
7名の委員より、テレビの合評番組について審議が行われ、南海放送が制作した ラジオ公開ドラマ「風の男BUZAEMON フルコンタクト」について、委員から次のような意見が出されました。
テレビ番組ラジオ公開ドラマ『風の男BUZAEMON フルコンタクト』
放送日時:2025年12月28日(日)24:55~26:30(南海放送制作)
番組概略
南海放送が2022年から開催している、ラジオドラマを生で、しかも観客の前で公開で放送するオリジナル企画「ラジオ公開生ドラマ」。4回目の今回の作品は、2014年日本民間放送連盟賞ラジオエンターテインメント番組部門で全国最優秀を受賞した『風の男BUZAEMON』を加筆した「フルコンタクトバージョン」。さらに今回は2025年12月7日のラジオ生放送の模様を収録し、初めて地上波テレビ番組を制作しました。
物語は江戸時代中期、寛政5(1793)年。愛媛県は伊予吉田藩でおよそ1万人が参加した百姓一揆通称「武左衛門一揆」が起こりました。紙の専売制を廃止させるなど23の要求を無血ですべて勝ち取った百姓側の完全勝利でした。しかしその名がついた首謀者といわれた「武左衛門」がどこの誰かいまだにわかっていません。本ドラマは「武左衛門とは誰だったのか?」という仮説をオリジナルストーリーで推理し、さらにオリジナルのヒップホップ音楽にのせてラジオドラマ化しました。
この番組は放送後1か月間、民放公式テレビ配信サービス「TVer」で配信しており、全国の皆さまに視聴いただけます。
各委員の意見
- 制作者が真剣な熱量を持って取り組むことが大きな力となって視聴者に伝わってきた。「新しいものは常に反逆だ」という精神のもと、メディアを取り巻く環境が変化する現状に甘んじることなく、テレビとラジオそれぞれの良さを発揮しながらメディアをもう一度作り直す挑戦を続けるべきという想いが、番組を通じてその熱い想いが視聴者に届いた素晴らしいチャレンジであった。
- 戒田節子さんの豊かな表情や語りが物語を牽引し、映像がなくても内容が頭に入るラジオの良さに加え、去り行く武左衛門に放つ「ふみ役」の絶叫といった映像ならではの迫真の演技が出演者の高まった気持ちをテレビ視聴者にも一体感を持って伝えたことから、本番組はラジオとテレビそれぞれの利点を上手く融合させて作り上げられた完成度の高い番組であった。
- 台詞の解釈の不自然さや伏線回収の不足を指摘。視覚情報の付加によって演劇的要素をより求めてしまう懸念から、今後は音声の想像力に委ねるのか映像を意識した作りを目指すのかという方向性を明確にすべきかと感じた。映像と音声の特性の間で揺れる課題を孕みつつも、郷土の歴史をミステリー風に仕立てた見応えのある作品であった。
- CMの多さによる話の途切れや演出面の細かな物足りなさもあったが出演者全体の演技レベルが凄まじく向上している点や、産休明けで発声に不安がありながらも決死の覚悟で披露された生歌の熱意を「南海放送一座」として高く評価。ラジオドラマの枠を超越した極上のエンターテインメントとして、制作者の強い意気込みが伝わる内容であった。
- 歴史的背景を補完するテロップや系図の表示がテレビ視聴者の理解を助け、家老の妻役を演じた寺尾英子さんの気迫溢れる声が涙を誘うほどの「ラジオの見せ方」としての力を発揮していた点を評価し、郷土の偉人をフィクションで脚色しその功績を明らかにする意義を強調したことで、これまで拝見した中で最も一本筋の通った傑作ドラマであった。
- AMからFMへの転換期というラジオ局の節目を百姓一揆のエネルギーに重ね、ラップやドローン等の演出でタイトル通りの「直接的な刺激(フルコンタクト)」を観客に与えたことや、名もなき英雄の魂が現代へ受け継がれる結末を高く評価したことで、メディアの形が変わっても魂は生き続けるという南海放送の決意表明を、百姓一揆の熱量に重ねて表現した作品であった。
- 要素が詰め込まれた展開の速さに課題はあったものの、安藤神社の由来やメーデーの起源といった知られざる郷土史を極上のエンターテインメントとして学べる有意義な機会となったことを評価し、一発勝負のライブ会場での苦労を上回るナレーションや演出の妙は素晴らしかった。ラジオ、舞台、テレビという3つの側面を見事に融合させた極めて完成度の高い作品であった。
以上
(番組審議会事務局)
番組審議会委員名簿
| 稲葉隆一(委員長) | 大一ガス(株) 代表取締役会長 |
|---|---|
| 村田毅之(副委員長 | 松山大学 法学部教授 |
| 山田ひろみ | 陶芸家 |
| 徳田明仁 | 愛媛大学 ミュージアム准教授兼広報室副室長 |
| 近藤路子 | (株)フードスタイル 代表取締役 |
| 宇佐美まこと | 作家 |
| 長井基裕 | 愛媛新聞社常務取締役常務執行役員 |