番組審議会
番組審議会とは、南海放送が放送する番組の向上改善と適正を図るため、放送番組等の審議を行うことを目的として設置された審議機関です。
第736回 番組審議会
第736回番組審議会が、3月23日(月)本社8階役員会議室で開かれました。
7名の委員より、テレビ、ラジオそれぞれの合評番組について審議が行われ、テレビ番組では南海放送が制作した「NEWS CH.4 CH.選挙~衆院選投票日直前SP~」について、委員から次のような意見が出されました。
テレビ番組「NEWS CH.4 CH.選挙~衆院選投票日直前SP~」
放送日時:2026年2月6日(金)18:15~18:56(南海放送制作)
番組概略
NEWS CH.4では、前回参院選(去年7月)時から、投票率が極端に低い若い世代を中心に、選挙について考えるきっかけや選挙を身近に感じてもらう報道を通して、投票率のアップへ、をテーマに、シリーズ企画「CH.選挙」を展開。
今回の衆院選では、サブタイトルを追加し「CH.選挙~ "動く"そのキッカケに~」と題して、選挙のギモンや候補者、有権者の思いなどを公示前から投票日に向け、連日番組内で伝えた。
そして、投票日前の集大成として、前回の参院選では、投票日前日の土曜日お昼に「CH.選挙」特別番組を生放送したが、今回は、初のNEWS CH.4内すべてを衆院選に特化して番組を構成。選挙行動などについて研究している愛媛大学の池田文准教授をゲストに、超短期決戦となった衆院選を"候補者"、"選管"、"有権者"の"動く"をキーワードに番組を展開した。
各委員の意見
- 日本テレビでの分析にある「視聴率はステーションイメージに比例する」とう考え方を大切にして、リサーチやマーケティングを科学的に分析し、「南海放送だから見る」というファンを増やす戦略がもっと必要になってくると思われる。生放送で専門家にコメントを求めるのは酷な面もあるが、安易な成功談にせず模索を続けることが大事だと感じた。選挙報道という難易度の高いテーマにニュース枠を丸ごと使って切り込んだ放送局の姿勢と、その新しい挑戦をとても高く評価する。
- 18歳と99歳の有権者の対比などは興味深かったが、短い番組時間の中に多様な要素を詰め込んだ為、番組全体としての印象が少し薄れてしまったと感じる。もっと大胆に「候補者」と「有権者」の動きにポイントを絞って深く描くことで、視聴者が選挙をより身近に感じられる構成でも良いのではと感じる。盛り込みすぎた結果として全体の印象がぼやけてしまい、焦点を絞ったドキュメンタリーの力を重視すべきだったのでは感じた。
- 候補者間で放送時間に差が出た理由を説明して公平性を示すべきだし、日本が直面する課題に対する各候補者の見解の違いをもっと明確に提示してほしかった。棄権による「損」を伝えるよりも、働かない議員に支払われる「税金の無駄」を前面に出したり、SNSの活用実態を深掘りしたりすることは期待が出来た。有権者の具体的な投票行動に資するためにも、もっと候補者間の政策の差別化をさらに明確にすべきだったかと思う。
- 初投票を楽しむ18歳の若者と、80年前から通い続ける99歳の女性を対比させた演出は、権利の重みを伝える上で極めて効果的だった。選挙に莫大な税金が投じられている事実には驚きがあったし、若者が前向きに政治を語れるような家庭環境をいかに作るかという視点も大切だと思われる。3つのテーマによる多角的な構成と、特に新旧有権者の鮮やかな対比によって、選挙を身近に感じさせる番組になっていたことが高く評価される。
- 定番のニュース枠を丸ごと選挙特番に切り替える手法は、興味の有無に関わらず強制的に見せる効果があって面白い試みだと感じた。期日前投票所の混雑を視覚的に見せて有権者の「行かなきゃ」という心理を動かすような新たな演出も検討しつつ、候補者の具体的ビジョンをさらに引き出してほしいと感じられた。ローカル局ならではの信頼性の高い取材力を支持していて、「選挙報道といえば南海放送」と言われるようなポテンシャルの追求を期待されていると感じた。
- 政治を日常生活に直結したものとして見せ、税金という「義務感」と歴史が作った「権利」を繋げた流れが、1票の価値を論理的に訴えていて説得力があったと感じた。放送局は単なる数値の公平性に縛られるだけでなく、送り手としての責任あるメッセージを発信し、「南海放送だから見ている」というファンを増やすべきだと思う。感情・義務・権利と段階的に情報を提示し、1票の価値を論理的に訴えた番組構成は高く評価される。
- 候補者のリアルな姿や新旧有権者の対比を描いたことは投票率アップへの後押しとして評価できる。ただ専門家ゲストの知見をご本人の緊張や構成のタイトさゆえに十分に引き出せなかったのが残念だったと思われる。生出演に不慣れな専門家に対しても事前の打ち合わせを綿密に行って、魅力を引き出す工夫をもっと徹底すべきだと感じる。直前特番としての内容は成功しているけれど、生放送における専門家との対話の深め方にはまだ課題が残っていると感じた。
続いてラジオ番組は、文化放送が制作した文化放送開局記念 昭和100年スペシャル「ドンとモーグリとライオンと ~やなせたかし 名作前夜」の合評を行いました。委員の主な意見と感想は次のとおりです。
ラジオ番組文化放送開局記念 昭和100年スペシャル「ドンとモーグリとライオンと ~やなせたかし 名作前夜」
放送日時:2025年12月28日(日)18:00~19:00(文化放送制作)
番組概略
2025年日本民間放送連盟賞「グランプリ」受賞番組。
アンパンマンの作者として知られる、やなせたかしが手がけた1960年代のラジオドラマ台本をもとに、名作誕生の"前夜"をひも解きます。台本の朗読、当時を知る関係者の証言を通じ、作品に込められた正義や命の尊さなどのメッセージを次世代に伝える。
各委員の意見
- 入社3年目の若手ディレクターが古い資料から名作の原石を見つけ出し、誰もが知る作家の生き様を現代に蘇らせたことはメディアとして大きな意義がある。人を喜ばせることを大切にしたやなせ氏の精神が番組全体から伝わり、こうしたアーカイブの活用は放送局にとって重要な取り組みだと感じた。やなせたかしという人物の本質を当時の肉声を通じて鮮明に描き出し、聴く人に深い感銘を与えたグランプリ受賞にふさわしい番組内容であった。
- ナビゲーターのやす子さんの語りが非常に聴きやすく、やなせ氏の多方面にわたる仕事の歴史や、交流のあった有名人とのエピソードが密度濃く紹介されていたのが好印象。また時折挿入される本人の肉声もリスナーにとって大きな魅力になっており、朝ドラの場面と重なるような構成もワクワクしながら楽しめたと思う。やなせ氏の神様のような人間的魅力をありのままに表現した作品であり、聴く人に元気と勇気を与えてくれる素晴らしい番組だった。
- 年代が前後する構成は少し分かりにくく、ナビゲーターのやす子さんのイントネーションが気になったので、俳優やアナウンサーならどうだったかと考えさせられた面もあったが、初期の幻想的で陰鬱な作品群には驚かされたし、そこからアンパンマン誕生に至るまでの思想の軌跡を辿る作業は気が遠くなるような労作だと感じた。結局、やなせ氏の生きることへの強いこだわりや反骨心を浮き彫りにすることで、描いていた人物像を劇的に変容させてくれた力作である。
- 話の終わりを途中で切り取り、その答えを他の方の話で回収していく手法がストレスなく聴けたし、おしゃれな音楽や安定感のある演出が番組全体を幸せな時間にしていたと感じた。初期の詩的なイラストの世界から、どうやってアンパンマンの「逆転しない正義」に繋がったのかが鮮明に伝わってきて、とても感動したん。やなせ氏の苦労の多かった若き日を優しく昇華させ、生き物への温かい目線から全ての名作が生まれていることを伝えた見事な番組だったと評価できる。
- 若いスタッフがアーカイブを掘り起こす行動そのものにワクワクしたし、昔の深夜ラジオのような「尖った」テンションの初期作品が本物の凄みを持って迫ってきたと感じた。やす子さんの節度あるナレーションも心地よくて、南海放送でもこうした「お宝の原石」を磨き直す取り組みが見てみたいという期待も膨らむ。全編を通して「本物」の音と記録が詰まっていて、やなせ氏の中にあった平和への願いや優しさを軸にしっとりと引き込まれる、まさに本物の番組だったと感じた。
- 過去の貴重な肉声や失われた音源を朗読で蘇らせる演出はテクニカルで見事だったが、情報量が非常に濃密だったので、いっそのこと2〜3回に分けて放送しても良かったのではと感じた。戦争での過酷な経験から「パンを分け与える正義」を見出したという哲学には深く納得させられたし、立体的な構成も物語性を高めていたと思う。放送の枠を超えてリスナーの行動や思考を変容させる力を持っており、現代の日本社会に対して命の正義という本質的なメッセージを提示した極めて意義深い一作だった。
- 「正義は嘘っぽい」と語るやなせ氏の言葉の重みに驚かされたし、生死を彷徨う人が乗る船を描いた初期作品の深さには、私たちが知るアンパンマンとは違う一面が見えて感慨深かった。テレビ慣れしていない専門家ゲストへの配慮といった課題はあるが、やなせ氏と文化放送の深い絆がよく伝わってきた。アンパンマン誕生の「前夜」にスポットを当て、人生や平和について問い続けたやなせ氏のメッセージを次世代に繋ぐ、今の時代にこそ必要な素晴らしい番組だったと強く感じた。
以上
(番組審議会事務局)
番組審議会委員名簿
| 稲葉隆一(委員長) | 大一ガス(株) 代表取締役会長 |
|---|---|
| 村田毅之(副委員長 | 松山大学 法学部教授 |
| 山田ひろみ | 陶芸家 |
| 徳田明仁 | 愛媛大学 ミュージアム准教授兼広報室副室長 |
| 近藤路子 | (株)フードスタイル 代表取締役 |
| 宇佐美まこと | 作家 |
| 長井基裕 | 愛媛新聞社常務取締役常務執行役員 |