番組審議会
番組審議会とは、南海放送が放送する番組の向上改善と適正を図るため、放送番組等の審議を行うことを目的として設置された審議機関です。
第738回 番組審議会
第738回番組審議会が、5月22日(金)本社8階役員会議室で開かれました。
7名の委員より、テレビ、ラジオそれぞれの合評番組について審議が行われ、テレビ番組では南海放送が制作した「もぎたてテレビ35周年スペシャル第4弾「青春ばあちゃん!」」について、委員から次のような意見が出されました。
テレビ番組「もぎたてテレビ35周年スペシャル第4弾「青春ばあちゃん!」」
放送日時:2026年4月26日(日)11:50~12:50(南海放送制作)
番組概略
「もぎたてテレビ」は今年、35周年を迎えました。4月は記念月間として、1600回を超える放送の中で出会ってきた人や味、場所などをテーマにした企画を4週連続で放送しました。中でも最後の4週目に、特別番組として企画した本作は、もぎたてテレビの歴史を彩ってきた愛媛の元気な"おばあちゃん"を主役にしました。年齢にとらわれず、いきいきと暮らす生涯現役のおばあちゃんに密着し、その元気の源や前向きに生きる姿を描いています。仕事や趣味に積極的に取り組むおばあちゃんたちは、それぞれ異なる人生経験を持ちながらも、「今を楽しむ」という共通の姿勢を大切にしています。本作は超高齢社会の中で、年齢に対する固定概念を見直し、「老い」=「引退」ではない新しい生き方や誰もがいつまでも自分らしく輝き続けられる可能性を伝える内容となっています。また、今回は未来のもぎたてテレビの在り方を模索する回として、日本テレビのアドバイザーの方にも監修していただきながら、バラエティ要素をプラスした普段とはひと味違う構成にも挑戦しました。
"「青春」とは年齢ではなく、心の若さである" をテーマに、番組では「青春ばあちゃん!」と題し、3組の生涯現役を貫くおばあちゃんたちの日常に密着しました。今治市の港町で30年以上お好み焼きを焼き続けるミーコばあちゃん、新居浜市のカレー屋さんで働く、平均年齢77歳の5人組のおばあちゃんたち、久万高原町の山里で700本の花桃を育てる花咲かばあちゃん。それぞれの人生や日常生活に迫りながら、日々を前向きに生きるための心構え=「青春であり続けるコツ」を彼女たちの言葉で語ってもらい、人生の先輩からヒントを学ぶという内容です。日常描写では、おばあちゃんらしさ溢れるシーンやクイズなどを交えながら楽しさを意識した一方、おばあちゃんたちの人生描写ではしっかりと印象に残るようなトーンに変えるなどメリハリのある演出を心掛けました。また、佐藤栞里さんのコメントも効果的に入れることで、番組の質をより高められるよう意識しました。
各委員の意見
- 年齢を重ねることは人生の終焉ではなく、新しい挑戦と輝きの段階であるというメッセージを深く受け止めました。3組のおばあちゃんたちの構成が絶妙で、地域とのつながり、働く喜び、自然との共生というそれぞれの物語が、視聴者の老いに対するネガティブなイメージを払拭させる力を持っていたと評価しています。特に「労働=苦労」という価値観を揺さぶる言葉は印象的です。愛媛の魅力を伝える35周年にふさわしい素晴らしい番組であり、今後は他県との比較企画を行うことで、県民のアイデンティティを再確認できるのではないかと提案したいと思います。
- 「おばあちゃんパワー」に圧倒され、まさに「青春再来」を感じる番組でした。長年『もぎたてテレビ』で取材を重ねてきたからこそ実現できた、歴史を感じさせるお宝映像の数々に感銘を受けています。登場する3組の方々の魅力的な人柄に勇気と希望をいただき、生涯現役でいたいという思いを新たにしました。番組制作に関しては、バラエティ要素をどの部分に取り入れたのかを質問し、制作上の工夫にも関心を寄せていました。また、ゲスト出演した佐藤栞里さんのコメントの的確さと、視聴者に安心感を与える好感度の高さについても高く評価します。
- 35年も続く地方局制作の番組という貴重な存在感について評価。また、多くの高齢女性が出演してきた中で、今回主役として3名を選んだ基準について問いかけています。番組制作の姿勢についても深く関心を持ち、ゲストとして佐藤栞里さんを起用した理由や、取材対象者である高齢者との接し方、心の距離感の取り方について具体的な質問を投げかけ、ディレクターから制作秘話や丁寧な取材の裏側を引き出しました。
- 35年続く番組の努力に敬意を表しつつ、過去のアーカイブ映像と近況取材、ゲストを交えたスタジオトークという重層的で丁寧な作りを高く評価されました。人生の黄昏時を前向きに生きる姿は、若い世代や人生の中盤で悩む人々にも強い共感を呼ぶものだと述べています。一方で、バラエティ向けゆえのゲストのコメントの薄さを感じたとの事。しかし、みーこちゃんの過去の映像で、子供から辛辣な言葉をかけられる場面をカットせずに放送したスタッフの判断には強く賛辞を送り、そのリアリティを評価します。
- 世代の異なるディレクター2名体制での制作協力や連携について質問。番組全体を通して、特番ならではのワクワク感がありながらも、おなじみの出演者によるリラックスした雰囲気で安心して視聴できたと述べています。「青春ばあちゃん」という言葉の引っかかりも、心の若さと定義づけることで腑に落ちたと評価。また、過去の膨大な取材の蓄積が「いい人ライブラリー」のようになっていると称賛し、テロップ等の見せ方だけでなく構成面でのプロの監修がどう作用したのか、その制作の裏側についても具体的に質問。
- みーこちゃんについては、芸人顔負けの天性の喋りで周囲を幸せにする存在だと評価されました。くーちゃん夫婦についても変わらぬ温かさに感動したと述べています。過去の映像があることで、以前からの変化を味わい深く楽しむことができたと番組の積み重ねを称賛しました。今回初めて知った「酒井カリー」の取り組みや、ロボットには代えられない接客の温かさにも驚きと興味を示しています。年齢を重ねてから自分の思いに忠実に生きる姿を映し出した、35周年にふさわしい内容だったと総括しました。
- 今回登場した3組のおばあちゃんたちに共通して、それぞれが独自の役割を持ち、明るさを持っている点を高く評価します。番組全体を通して、視聴者に元気を与える素晴らしい内容であったと総括したいと思います。
続いてラジオ番組は、南海放送が制作したラジオドラマ「When I Dream 昭和編」の合評を行いました。委員の主な意見と感想は次のとおりです。
ラジオ番組ラジオドラマ「When I Dream 昭和編」
放送日時:2026年4月26日(日)13:00~15:00(南海放送制作)
番組概略
人は亡くなるときどの時代の夢を最後に見るのだろうか。この物語の主人公・甲岡トシ子さんは2026年1月20日に101歳のお誕生日を迎えるはずだった。しかし1月3日に老衰で亡くなった。彼女の昭和の人生のすべてを彼女目線で紡ぎたいと企画した。太平洋戦争中の実話に基づいた物語。昭和18年3月。北海道は室蘭にある海岸郵便局に白い軍服姿の男が現れる。彼は潜水艦の修理、物資の積み込みなどのため室蘭港に寄港した軍人だった。そして故郷の両親に無事を知らせるハガキを出すために郵便局に寄ったのだ。その応対をした18歳の女性局員と彼は恋に堕ちる。その後二人の間に文通が始まる。潜水艦が寄港する港から、彼女あてに届く一方的なハガキだった・・・。
二人は結婚することになる。18歳の彼女は父親と二人で4~5日をかけ鉄道と船で室蘭から愛媛県の鬼北町に向かう。あわただしく結婚式だけを上げて彼は戦場に戻る。そして終戦。ところが彼は帰ってこなかった。シベリアに抑留されたのだ。友達も親戚も誰もいない愛媛の地で彼女はひたすら彼の帰還を待ち続ける。終戦から2年たった昭和22年・・一通の電報が彼女のもとに届く。
各委員の意見
- タイトルの由来やスポンサーである日本郵便への配慮など、番組の背景を質問。特に戦死の知らせが珍しくない時代に、引き揚げ船による生存の知らせを受けた場面では、郵便配達員役の杉作J太郎さんの演技と共に強く心を打たれたと。一方で、戦争という悲惨な事実を番組内でどう位置づけ、伝えたかったのかという制作意図についても質問。また、言葉遣いや描写に対する疑問点に加え、タイトルコールが「偏愛ドリーム」と聞こえてしまった点など、視聴者としての細やかな気づきも伝えています。今後は他の時代をテーマにしたシリーズ化の可能性にも期待を寄せ、番組の深掘りを行う質問が印象的でした。
- ご両親の出会いのエピソードを、物語が生まれるような素晴らしい実話と絶賛。平林伊佐子さんの語り口や、効果音を駆使した戦時中の空気感の表現を高く評価しています。特に、直接的な戦争描写を避けつつも「沈黙の音」や列車の蒸気音で緊張感や距離感を見事に描き出した点を称賛。手紙や電報というアナログな通信手段が、後世に生きた証を伝える価値があることを再認識し、現代の世界情勢下においても深く考えさせられる優れたドラマであると総評。リスナーの心に深く訴えかける、質の高いラジオドラマとしての完成度を認める内容でした。
- ラジオドラマ特有の緊張感を感じさせず、物語の世界へ自然と没入できたと評価。登場人物を絞った構成と、それぞれの技量が光るキャルティングの妙により、高い臨場感があったとの感想。悲劇的な結末を覚悟していただけに、ハッピーエンドで帰還したことに安堵しました。一方で、夫の人物背景など、あえて描かれなかった部分への興味が持たれます。他の委員同様、タイトルコールが「偏愛ドリーム」に聞こえた点への指摘もありましたが、全体としては1時間が短く感じられるほど心地よく、完成度の高い作品であったと締めくくりました。
- 田中会長が過去に執筆したどの作品よりも解像度が高く、事実に基づく構成が物語の自然な流れを生んでいると高く評価しました。「When I Dream」の選曲センスを含め、ラジオパーソナリティとしての集大成を感じると称賛しています。特に評価したのが杉作J太郎さんの演技です。会話をあえて少しずらす演出によって、異なる世界観を持つ人物同士のリアリティを巧みに表現し、臨場感を高めた点を高く評価しました。全編を通して感動的な仕上がりであり、ラジオ表現の可能性を最大限に引き出した番組であると絶賛しました。
- まるで美しい小説を読んでいるかのような心地よい体験だったと語りました。音楽や場面転換の演出も素晴らしく、純粋な思いを抱いて戦時中を生きる主人公の視点に引き込まれたとのことです。二人の運命的な出会いにときめきを感じつつも、夫が帰還した後の二人の人生や、家庭の様子など、その後の展開についても知りたいという深い関心を示しました。リスナーの想像力を刺激し、物語の続きを追いたくなるような、純粋な魅力にあふれたラブストーリーであると捉えています。
- 人生の半分を昭和で過ごした者として、戦時下のラブストーリーに深く感動ししました。限られた登場人物とテンポの良い展開のおかげで、語りを聴くだけで映像が目に浮かぶほど分かりやすかったと思います。特に青函連絡船や中国・大連からの引き揚げといった描写は、自身の父や当時の連絡船の記憶と重なり、強く共感しました。北の大地で芽生えた恋と、愛媛へ嫁いだ主人公の勇気に心からの拍手を送り、ラジオドラマとしての完成度の高さと、当時の時代背景を伝える作品としての意義を称賛しました。
- ラジオならではの想像力を掻き立てる素晴らしいドラマであったと評価した。戦時下を舞台にしながらも、リスナー一人ひとりがそれぞれの情景を思い描ける完成度の高さを称賛。
以上
(番組審議会事務局)
番組審議会委員名簿
| 稲葉隆一(委員長) | 大一ガス(株) 代表取締役会長 |
|---|---|
| 村田毅之(副委員長 | 松山大学 法学部教授 |
| 山田ひろみ | 陶芸家 |
| 徳田明仁 | 愛媛大学 ミュージアム准教授兼広報室副室長 |
| 近藤路子 | (株)フードスタイル 代表取締役 |
| 宇佐美まこと | 作家 |
| 長井基裕 | 愛媛新聞社常務取締役常務執行役員 |