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番組審議会

番組審議会とは、南海放送が放送する番組の向上改善と適正を図るため、放送番組等の審議を行うことを目的として設置された審議機関です。


第732回 番組審議会

第732回番組審議会が、11月28日(金)本社8階役員会議室で開かれました。
7名の委員より、テレビ、ラジオそれぞれの合評番組について審議が行われ、テレビ番組では南海放送が制作した 日本のチカラ 「風になりたい~違いが奏でるハーモニー」について、委員から次のような意見が出されました。

テレビ番組
日本のチカラ 「風になりたい~違いが奏でるハーモニー」

放送日時:2025年11月3日(月・祝)10:25~10:55(南海放送制作)
※東京・大阪・名古屋エリアは10月25日(土)、その他29局は順次放送中

番組概略

ハーモニアス楽団は結成から1年半。今では入団希望者が相次ぎ、一時的に受け入れを停止するほどの人気となっています。番組はそんな楽団を立ち上げた団長の井門明日香さんが主人公です。彼女の生い立ちや結婚・出産という人生の大きな節目で直面した社会の偏見などを交えながら、彼女が楽団の活動や日常生活を通して見出した「生きづらさ」との向き合い方、彼女が感じる"障がい"を描いています。

夏には地元プロレス団体のイベントで500人以上の観客を前に演奏する初めての大舞台に密着しました。慣れないリングの上で緊張するメンバーたちですが、一人ひとりができる形で音を奏で、会場には温かい拍手が広がりました。さらに、秋の公演では、「障がいという壁を壊したい」という思いを込めて、"ある曲"を披露。音楽を通じて、互いの違いを認め合い、自分らしく生きる喜びを感じてもらいたいです。

各委員の意見
  • 障がいについて考える良いきっかけを視聴者に与え、主人公である井門明日香さんのように「強烈に好きなものを見出せる人」は強く楽しく生きられるというメッセージが伝わったため、今後もこうしたテーマを継続的に追求すべきである。
  • 主人公の井門明日香さんの率直な捉え方や起業に至る行動力を描き、人は勝手に自分たちの価値観を押し付けて他人の選択肢を狭めているかもしれないと気づかされた。また、楽団に集う人々の生き生きとした姿から居場所の必要性、重要性を痛感したため、井門さんの今後の動きに注目し、追い続けて定期的に番組を制作してほしい。
  • 障がい者に対する配慮が足りない社会環境が強調される一方で、健常者の取り組みや行政・民間の動きも紹介してほしかった。また、映像をしっかり見て余韻で感じてもらう意図で体言止めを多用し、制作者のメッセージを省略したナレーションや、愛媛プロレスの演奏時の空席が目立つ中で「500席完売」とナレーションを入れたことがミスリードの恐れがあるとして、言葉を省略せず制作者のメッセージを込めることや、正確な情報伝達を行うことが大切。障がいは社会にあるという指摘に対する報道機関としての今後の対応が課題であると感じた。
  • 井門明日香さんの皆をまとめ上げる能力や冷静な判断能力は素晴らしすぎると感心し、特に結婚や出産の時に社会から受けた心の痛みに衝撃を受けた。このため、ご主人の障がいが公表されなかった理由やインタビューがなかった経緯について差し支えなければ知りたいと。また家族3人で幸せに暮らしている現状から、あの時の判断は正しかったと拍手を送りたい。
  • 免許センターでの井門さんの困窮した様子を見た後、「私一人だったら不自由はないが、一歩出ると障がいは社会にある」という一言が衝撃的だった。また、彼女の出産に対する社会からのブレーキや、辛さで涙を流す姿を見て、自身が無意識に障がい者に対し差別的な固定観念を持っていたことに気づかされたため、自社制作コンテンツをまとめて探せるような配信の仕組みを設けることが大切だと感じた。
  • 社会が障がい者に対して「愛される障がい者でいなさい」という都合の良い障がい者像を強要する圧力をかけていること、および運転免許センターのシーンが健常者の「普通」に対応していない社会のバリアを具体的に示していると指摘し、この映像は障がいは個人ではなく社会に存在するバリアであるという本質的なメッセージを提示した点で、極めて重要な価値を持つと思われる。
  • ありきたりな結論に導かず淡々と事実を伝えた構成は評価できる一方で、ハーモニアス楽団の活動が素晴らしいだけに、健常者団員や八幡浜公演の聴衆の意見など多様な視点を含めるべきだった。特に「運転免許センターの場面」は健常者の基準である「普通」を視聴者に知らしめるために良かったし、井門さんの生き方こそが「それぞれの個性を生かして生き生きとした音楽を奏でる」という目標を体現している。

以上
(番組審議会事務局)

番組審議会委員名簿

稲葉隆一(委員長) 大一ガス(株) 代表取締役会長
村田毅之(副委員長 松山大学 法学部教授
山田ひろみ 陶芸家
徳田明仁 愛媛大学 ミュージアム准教授兼広報室副室長
近藤路子 (株)フードスタイル 代表取締役
宇佐美まこと 作家
長井基裕 愛媛新聞社常務取締役常務執行役員