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受賞者決定

受賞作品

  • 最優秀賞
    『ゆかりコアラ』松田恭広
  • 優秀賞
    『縁川』北澤奇実
  • 優秀賞
    『ご恩は決して忘れません』藤田美智代
  • ㈱ベルモニー賞
    『お袋デリバリー』アキ
  • ㈱ベルモニー賞
    『縁屋-ゆかりや-』深月凛音

  • 入賞作品
  • 『ゆかりコアラ』 by 松田恭広

    ▼ こちらでご覧いただけます

    深夜の物音で私は目を覚ました。枕元のライトをつけるとベッドの足元にはコアラが鎮座していた。灰色の毛に、真っ黒な瞳。動物園で見るような、「ザ・コアラ」だ。
     コアラは丁寧に一礼し、話しはじめる。
    「ユーカリの葉には、毒があります。ところがコアラはそれしか食べられないため、ほとんどの時間を解毒に費やしています。皮肉な話ですね」私はあっけにとられたまま、コアラの演説を聞く。「これは嫌だということで、私は主食を縁に変えたんですね。字面で見ても、どこか緑っぽくていいでしょう。つまり、我々、縁コアラは皆さんのご縁をおすそ分けしていただいているんです。今日はその御礼に」コアラは笑顔で再度、頭を下げる。
    「何バカなこと言ってんのよ」我に返った私は、枕を投げつける。コアラの姿は消えており、枕は向かいの壁に当たって虚しく落ちた。
     彼氏から昨日、別れを切り出されたばかりだった。
  • 『縁川』 by 北澤奇実

    ▼ 朗読をお聴きいただけます

    十年に一度の夜だ。
    雨戸の内側に渡っている縁側は、普段より一層ピカピカに磨かれている。親類縁者が集まって大座敷で支度をする。酒や米、菓子が山の様に積まれている。
    準備ができると庭の方から雨戸を外す。縁側に月の光がさっと射し、ピカピカの床が光って、そして、ザザッと流れ出す。まるで川の様だ。
    座敷を囲む様にして、縁側が大きな川になった。表面が波打って、月の光が射す奥には、川底の岩や魚が見える。
    「来た来た」と誰かが言う。上流の川面に人の姿が映っている。座敷に居る者ではない。それは、この家に縁のあった、先祖代々の人たちの姿だ。彼らの面影が、桜の花びらの様に縁側の川面をくるくると回りながら、こちらへと流れて来る。顔も知らない先祖や、去年亡くなったお婆さんも見える。笑って手を振っている。こちらも手を振り返す。
    幼くして亡くなった者の笑顔に涙して、お供え物を川に流した。
    これを「縁川」と呼んでいる。
  • 『ご恩は決して忘れません』 by 藤田美智代

    ▼ 朗読をお聴きいただけます

    「この戸は決して開けないでください。」
     最初から鶴の姿で戸を閉めようとする白い手羽先を、私はすばやく右手でつかんだ。左手は竜宮城へ連れて行こうとする亀につかまれ、頭の上では雀が山の向こうのお宿へ誘っている。私の家に機織り機はないし、仕事は週休二日制だし、町育ちだから牛や馬を洗いながら山奥の一軒家には歩いて行けない。お礼を受け取れないのは心苦しいが、二羽と一匹を玄関で見送った。彼らは、また来ると言いながら仲良く去っていった。
     さて、私もお世話になったあの人のところへお礼に出かけよう。すると、足元で飼い犬のシロが「ワン!」と吠えた。今日はやけに良い声だなと思っていると、見る見るうちに後ろ足で立ち上がり、両手を合わせた。
    「わたしに、お供をさせてください。」
    シロよ、お前もか。この世の中は恩返しで出来ているのかもしれない。でもね、昨日のお団子は本当におやつだったのだよ。
  • 『お袋デリバリー』 by アキ

    ▼ 朗読をお聴きいただけます

    夕方に始まった同僚とのリモート飲みは中々に盛り上がり、そろそろお腹が空いてきた。
    「なあ、これ頼んでみない?お袋の味が届くんだって」
    先輩が画面いっぱいに広げたのは、お袋デリバリーと書かれたチラシ。
    「え、母さんの料理が?」
    「おかんの唐揚げ食いて〜」
    目を輝かせる同僚達。
    母のいない私にも届くのか不安だったが、流れに乗って注文した。

    ピンポーン。早速先輩の家に届いたようだ。「マジで母ちゃんの卵焼きだ」
    ピンポーン。「わ、おかんの唐揚げ!」
    驚きの声が広がる中、うちのインターホンは一向に鳴らない。
    やっぱり来ないか。
    私は寂しさを堪え、同僚には「お腹が空いてなくて頼んでない」と嘘をつき、賑やかな空気を壊さぬよう努めた。

    ピンポーン。
    ところが翌朝デリバリーが来た。元気がない時、よく父が作ってくれた料理だった。
    一晩煮込んだビーフシチュー。
    それはどんな時でも笑顔をくれる、私のお袋の味。
  • 『縁屋-ゆかりや-』 by 深月凛音

    ▼ 朗読をお聴きいただけます

    『縁の糸取り扱っております 縁屋』
     入口の看板にはそう書かれていた。祥子は吸い込まれる様に奥へ入っていく。
    「いらっしゃい」
     突然の声に祥子は驚く。もっと驚いたのは暗い部屋の中に赤く輝く無数の糸だ。
    「これはね、縁の糸だよ。私はこれを繋げることも断ち切ることもできるのさ。お前はどうしたい?」
     祥子の頭の中に愛しい男の顔が浮かぶ。
    「お前にはこの先何本もの縁の糸が見える。彼を選ぶと他の縁の糸は自然と断ち切られてしまうよ。それでもいいのかい」
     祥子は覚悟を決めて頷く。祥子の為に彼が別れを選んだのは知っている。
    「この縁はまたすぐに切れるよ。それでも?」
    「お願いします」

    「彼が静かに息を引き取った」と祥子が店を訪れた夜、店主は切れた縁の糸を手に取った。そこには真新しい太い糸が繋がっている。思った通りだった、時に眩しい位の奇跡は訪れる。
     祥子が彼によく似た男児を産むのは、桜の咲く頃。
  • 作品タイトル ペンネーム
    鰯の昇天 興村俊郎
    えんかつ屋 そるとばたあ
    縁足 ことのはもも
    縁継ぎ 浜子めみ
    おぎゃあ 堀部未知
    四季紙 たらはかにゃー
    絶景喫茶店 和泉サチ
    相思相愛 蟹味噌崇太郎
    水の住人たち
    巡る傘 すずらん
    縁色の結婚 風月堂
    縁コン ゆた
    縁茶 日常のソクラテス
    ユカリーグ むう
    ユカリナの音色 蟲乃森みどり

総評

今回も過去最高を更新するたくさんのご応募、ありがとうございました。
これまでの「家族」「節目」につづいて今回のお題は「縁(ゆかり)」。人や物との縁を描いた作品から、「縁」をもじった言葉遊びのような作品まで、さまざまな作品を楽しませていただきました。
ぜひ、想像力にあふれた400字の素敵な世界をお楽しみください。

審査委員長 田丸雅智1987年、愛媛県生まれ。東京大学工学部、同大学院工学系研究科卒。現代ショートショートの旗手として執筆活動に加え、坊っちゃん文学賞などにおいて審査員長を務める。また、全国各地で創作講座を開催するなど幅広く活動している。ショートショートの書き方講座の内容は、2020年度から使用される小学4年生の国語教科書(教育出版)に採用。17年には400字作品の投稿サイト「ショートショートガーデン」を立ち上げ、さらなる普及に努めている。
著書に『海色の壜』『おとぎカンパニー』など多数。メディア出演に情熱大陸、SWITCHインタビュー達人達など多数。

田丸雅智 公式サイト⇒ http://masatomotamaru.com/

⇒ ショートショートガーデンHP

南海放送ラジオ特別番組

  • ● 番組名:「株式会社ベルモニー Presents ショートショートコンテスト受賞作品発表」
  • ● 放送日時:2021年 3月15日(月)~19日(金)13時35分~

南海放送テレビ特別番組

  • ● 番組名:「株式会社ベルモニー Presents ショートショートコンテスト受賞作品発表」
  • ● 放送日時:2021年 3月22日 月曜日 22時54分~

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